で、「変えなくて」成功した例は、森永「ハイチュウ」ではないでしょうか。こちらも、いまどこの食品店でも目にします。「Hi-CHEW」のネーミングから日本と同じです。すでに米国進出して10年が経ちます。完全に市民権を得ています。
噛んだ直後にはくっついちゃいそうな食感。でも、くっつかない。アメリカ広しと言えども、そんな食感は、それまでの北米全土、どこを探しても存在しませんでした。存在しないから「変える」ではなく、存在しないから「変えなかった」。
そして味覚自体も、日本のそれと変わらない。あえて、日本のまま勝負したのが吉と出たようです。もともと高いクオリティー、変える必要がなかったのかもしれません。それでも、厳密には「変えず」とも「増やした」。マンゴー味は、北米ならではのフレーバーだそうです。
「変えるべき」ポイントと、「変えちゃいけない」ポイントを見極める。それができりゃ苦労しないけれど、でも、「変えるべき」ポイントと、「変えちゃいけない」ポイントがある。その事自体を自覚することは北米での進出には欠かせないと思います。
もちろん、個人でもそうだと思います。日本の「漢字」をベースにファンシーグッズを開発しているメーカーが先日、オフィスに訪れました。いままでは日本の観光名所で、日本に観光に来た外国人がターゲットでした。その商品を、今度は北米で北米のアメリカ人に売りたいとのこと。
オリエンタルなムード漂う「漢字」のフィギュアを元に、可愛いプロダクトを製造する軸は変えないけれど、観光で日本に来たアメリカ人が記念にでも購入したくなるお土産色の強いプロダクトから、現地にいる現地のアメリカ人が購入したくなるような、もっと日常に必要な生活品寄りのプロダクトもラインナップに加える、とのこと。(具体的な製品名は企業秘密、です)社長がそう言った、その時点で、成功するんじゃないかな、と少し思いました。