米国で成功した日本企業に共通する「変わり続けること」の重要性

 

次に、『提供するサービス、商品をニューヨーカー用に「変えるところ」と、「変えないところ」を見極める』

「なにを当たり前のことを」と言われるかもしれません。そこが肝心で、それこそがわからないんじゃないか、と。確かに、そこに明確な答えを出すことができれば、ほぼ成功です。でも、もちろん、それこそが難しい。

ただ、中には「自分とこの商品に誇りを持っている!アメリカ人用に何も変えなくていい!」という頑なな経営者もいるし、「アメリカ人が好きそうなラインナップにすべて変えました。まったくの新サービス、新プロダクトで勝負します」というこだわりがまったく見えない経営者もいます。(企業の具体名を挙げられるくらい)

そういった経営者はなかなかこの街でのサバイブに苦労しています。それらの考え方が両方とも、ナンセンスかも、と最初の時点で知っておくことは、悪いことじゃないかもしれません。

もちろん、僕は、次に例として挙げる大企業の進出を手がけたことはありません。すべて、零細、中小企業、もしくは個人のクライアントさんばかりですが、例としてわかりやすいように、日本人誰もが知っている大企業の成功例です。

例えば、日清食品のカップヌードル。もちろん現地にも法人があり、工場があり、いまではどこの現地グロッセリーでも「カップヌードル」を目にします。

カップには「MUCHMORETHANASOUP」という文字が入っています。日本では、入ってないはずです。訳すとしたら…なんて言っていいだろう、「スープよりずっといいよ」とか、「ただのスープと思うなよ」って感じかな。

こちらの担当者に以前、取材したことがあります。その際に言われたことは、まず、アメリカでは「ヌードルスープ(スープの中の麺)を食べる習慣」が当時はまだ浸透していなかった、ということ。

もちろん「スープを飲む習慣」は日本以上にあります。なので、スーパーの売り場の「スープ売り場」に置いてみた。で、「スープだけど、スープよりいいよ」という売り方をした。確かにアメリカ人には「ラーメンだよ」という売り方より「スープの最上級だよ」という売り方の方が、スッと入ってくる気がします。

食べてみると、確かに、日本製より(不味いけど)麺が短く、アメリカ人には食べやすいはずです。どっちかっていうと、ラーメンというより、アメリカ人の国民食「キャンベルのチキンヌードルスープ」に近い感覚。「変えて」成功した圧倒的な例ではないでしょうか。

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