池田教授の懸念。入学式や就職活動の服装の画一化が招く国力低下

 

成人式もひと昔前まではよく荒れて、来賓が怒って祝辞も述べずに帰ってしまったなんてことがあったが、今はそういう話を聞かないところをみると、最近はずいぶんおとなしくなったのだろうか。はっきり言って、成人式で羽目を外す若者が少しはいる社会の方が、活力があって未来に希望が持てる。国民を奴隷にしたい権力者にとっては、都合がいい社会になりつつあるけれども、国力はじり貧になる。この傾向は諸外国に比べ日本で特に顕著である。

国際基督教大学の学生部長の加藤恵津子さんが新入生の99%以上が黒スーツと白シャツだったと呆れていたが、入学式ばかりでなく、今世紀に入るころから、就活をする学生諸君の服装は黒のリクルートスーツ一色になってしまった。そのころを境に日本の国力は急下降し始めたが、これは単なる相関ではなく、深い因果関係があるに違いないと、私は思っている。

無理に奇抜な格好をしろとは言わないが、そういう人を排除しない社会の方が健全である。ソウルオリンピックの前後だったと思うが(とすると1988年前後か)、当時、まだ東大の教授だった村上陽一郎をはじめ、黒崎政男、山脇直司、森岡正博などが参加していた異分野横断的な研究会が定期的に東京で開かれていたことがあった。誰か面白い人はいないかということだったので、私が神戸大の助手になって間もなかった郡司幸夫を推薦して、来てもらったことがある。

郡司幸夫は30歳になったばかりで、まだペギオというミドルネームを使っていなかったが(現在は郡司ペギオ幸夫と称している。私が聞いたところでは、男の子が生まれたらペギオという名前を付けようと思っていたが、女の子が生まれたのでペギオは自分のミドルネームにしたという話だった。それで女の子の名前は花子にしたという。不思議な人だ。大澤真幸の話では単にペンギンが好きだったからということだが、真偽のほどは知らない)、既に天才のオーラが漂っていた。

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