台湾を「中国の一部」と発言のホンハイ会長が台湾総統になる悪夢

 

話がトランプ大統領との会談に戻りますが、郭氏はトランプ氏が大統領に当選した直後から、アメリカに対してというよりもトランプ氏に対して巨額の投資を申し出ています。ウィスコンシン州に液晶パネル工場の建設を申し出たほか、トランプ氏の支持基盤であるミシガン州への大型投資も申し出ています。こうしてビジネスを利用してアメリカとのパイプを強くする一方で中国での基盤も維持しつつ台湾での総統選挙に出馬するという、なんとも素晴らしいスーパープレイヤーぶりです。

上記の失言(?)の後、郭氏はさらにこう付け加えました。「習近平との会談の予定はありません。私の服は青色です。赤ではない」

郭氏は、トランプ大統領との会談を利用して中国寄りとのイメージを払拭しようとしたわけです。台湾の報道によれば、現段階で若者に最も人気があるのは柯文哲台北市長だとのことですが、総統選はこれからです。それぞれの候補がどんな奥の手を出してくるのか、お手並み拝見といきましょう。

2020年の台湾総統選挙をめぐって、国民党の候補者はほぼ決定したようです。今のところ国民党からは、朱立倫王金平呉敦義の三名が出馬を表明しています。馬英九がサプライズで出馬表明する可能性もありますが、今のところないですね。そのかわりに登場したのが、鴻海の郭台銘でした。一方で、高雄市長の韓国瑜は就任したばかりの市長職を辞するわけにはいかないと、一度は不出馬を表明しましたが、国民党はまだ諦めていないようです。

民進党も候補者を調整中ですが、今回の選挙については、国民党も民進党も誰が出るかではなく、「当選可能」かどうかが最重要です。つまり、投票する側にとっては中国統一VS現状維持の選択というわけです。

私は民進党候補が頼でも蔡でも、どちらでも民進党を支持します。柯文哲台北市長もなかなかの人気を誇っていますが、以前、彼が東京に来たときに私も駆けつけましたがニアミスで会うことができなかったことがありました。その際、彼と会った日本の国会議員が、「彼は日本に来たのに日本のことには一言も触れなかった。彼には礼儀がないのか」と少しお怒りでした。確かに柯は学者肌なので、周囲への気遣いには欠ける部分があるのかもしれません。

郭台銘については、これまでアップルの下請けとして成功してきましたが、彼のビジネスの手法はあまり評判がよくありません。彼の持つ潤沢な資金が一体どこから来ているのかも疑問です。そのカギはやはり中国との関係にあると見たほうが無難でしょう。彼は今回の訪問でトランプ大統領との親密ぶりをアピールしていましたが、主導権はあくまでもアメリカにあると思います。

韓国瑜は軍人出身、しかも反共の専門家(匪情専家)の出身です。高雄市長に立候補して以来の「韓流」ブームですが、それもそろそろ下火になりつつあります。

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