環境破壊の要因のひとつとして槍玉に挙げられているポリエチレン製のレジ袋。つい先日もセブン&アイホールディングスが「2030年までのレジ袋全廃の方針」を発表するなど、その「包囲網」は着々と狭まりつつあります。こんな流れに異を唱えるのは、中部大学教授の武田邦彦先生。武田教授は自身のメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』で、レジ袋はプラスチック製品の中でも「環境に良い製品」としてその理由を記すとともに、なぜレジ袋が悪者に仕立て上げられたのかを暴露しています。
環境に良い製品「レジ袋」をなぜ排除しようとするのか?
もともと日本人は集団性が強く、周りを強く意識していますが、「和をもって尊しとなす」といっても、周囲とうまくやろうと思って、ウソをつくのは好ましくありません。今回はその一つの「レジ袋」と「プラスチックごみ」の問題を取り上げて、読者の皆様とご一緒に考えてみたいと思います。
レジ袋というのはプラスチック製品の中でも格別、「環境に良い製品」です。理由は簡単で、
- 石油の中でもっとも安価(エネルギーが少なくてできる)
- 石油の中でつねに余り気味
- 製造工程が進歩していて無駄が少ない
- 3回から4回も使える
- 最初は買い物用、途中では子供に持たせたり、汚いものを包んだりでき、最後はごみ捨てにも使える
- 水を通さない
という特徴があります。
まず、科学的な面ですが、石油は大昔の生物の死骸が腐ったものなので、人間の希望通りの組成(構造)をしていません。石油から取れる大切なものとしては、ガソリン、軽油、BTX成分(化学原料)などですが、大切なものをとる時に他の成分も一緒に出てしまいます。レジ袋の原料はポリエチレン(PE)というものですが、昔はほとんど用途がなく、石油精製工場で燃やしていました。その結果、値段が極端に安く、それで「レジ袋はただ」という感じになったのです。
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