失敗なら国際秩序崩壊も?米が安倍首相に期待する仲介役の重要度

 

しかし、この“軟化”については、2月以降一向に進展していない米朝間でのdeal makingに関係する【北朝鮮へのメッセージ】なのではないかと考えられます。

それは何か。表向きには、トランプ大統領“だけ”は、まだ北朝鮮を見捨てていないように見せていますが、実際には『イランとの衝突は秒読みとされてきたが、北朝鮮の出方次第では、アメリカの取る強硬手段の相手の順番を変更する』、つまり『北朝鮮への攻撃の可能性が増す』というメッセージなのではないかと考えています。

ここまで観ても、それぞれのイシュー(2国間のイシュー)がいかに他の問題への対応と密接に絡み合っており、国際情勢全体の緊張の高まりを加速度的に表しているかお感じになれるかと思います。それは、米朝間の駆け引きしかり、米中貿易“戦争”しかり、そして今回取り上げたイランをめぐる緊張しかりです。

そのような中で注目すべきは、それらのイシューに対してそれぞれstakeを持つ【日本の仲介役としての役割と外交的な可能性】ではないでしょうか。イランは常に親日的な国ですし、中国も米中対峙のバランスを取るように、日本への攻撃は鳴りを潜め、今は恐らく戦後最良の二国間関係を演出しています。

そして、北朝鮮に対し、安全保障面での脅威(特に中距離ミサイルと核、電磁波)と拉致問題を抱えると同時に、アメリカとは緊張関係にあり、中国からも見放され、ロシアからも表向きはバックアップを得ることが出来ない中、交渉の行き詰まり感を打破するためのプレイヤーとしての日本は、うまく戦略的に振舞うことが出来れば、国際平和と安定のキャスティングボートを握ることが出来るかもしれません。

今回の日米首脳会談で分かったことは、アメリカは戦後外交の一貫した流れとして他国の仲介を忌み嫌ってきましたが、トランプ大統領は、安倍総理がイラン問題のみならず、対中関係や、変化球ですが対北朝鮮問題の行き詰まりを打破する【仲介役】をこなせるのではないかと期待しているようです。

実際に記者会談でも、安倍総理の6月に予定されているイラン訪問も後押ししているように思われますし、中国との橋渡しも期待しているようです。問題は【それをいかにして実施していくか】というやり方・methodsでしょう。

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