16日に香港で行われた、刑事事件の容疑者を中国へ移送が可能となる「逃亡犯条例」の改訂草案(以下、改訂草案)に反対する市民らの大規模なデモ。先だっておこなわれた9日の「103万人デモ」を大きく上回り、そのおよそ倍近い200万人(主催者発表)の人々が、香港政府・中国政府へ怒りの声をあげました。人口700万人の香港で200万人もの市民がデモに参加し、香港史上では最大規模。この参加人数からも市民が抱く「危機感」の強さがうかがえます。MAG2 NEWSでは、編集部シュウマイが15日から現地入りし、今回のデモの中心地である「香港島」で見た、生の香港200万人デモの様子を伝えてくれました。
香港で最大規模の200万人デモ。審議の「延期」発表も市民ら「撤回」を要求
15日午後、編集部シュウマイが香港入りした前後に、香港政府は改訂草案の「無期限延期」を発表しました。政府の思惑としては、16日に予定されていた大規模デモを縮小、または阻止する目的があったようです。
【逃亡犯条例の改正延期 香港政府トップが表明 】
香港政府の林鄭月娥行政長官は記者会見で、香港で身柄を拘束した容疑者の中国本土への移送を可能にする逃亡犯条例の改正を延期する方針を表明しました。
記事はこちら⇒https://t.co/XaLNHVnG9a pic.twitter.com/g6bOpETRPq
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) 2019年6月15日
しかし、香港市民の多くは「延期」ではなく改訂草案の「撤回」を要求。その後も、デモの勢いが衰えることはありませんでした。そして迎えた16日(日曜)。編集部シュウマイは、13時41分に九龍(クーロン)側からスターフェリーに乗って13時50分頃に香港島へ到着した時、まだデモ隊の数は多くなかったとのこと。

デモ隊に備えて規制線を張る香港警察
今回の香港デモの象徴でもある「黒いTシャツ」を着た学生たちが歩いていく方向へ向かうと、「統一中心商場」というデパート付近に、デモ隊の姿や、今回の「改訂草案」反対デモに対するメッセージなどが多く掲示されていました。そこは「レノン・ウォール」と呼ばれている回廊。その夥しい数のメッセージからも、香港市民の「怒り」が伝わってきます。

通路の壁を埋め尽くす、学生らによる改訂草案反対のメッセージ

統一中心商場付近で少しづつ見え始めたデモ隊の列
↑レノン・ウォール(Googleストリートビューより)
そして、その数は時間を追うごとに増え始め、気がつくと議会周辺の道路を埋め尽くしていました。

道路を埋め尽くしたデモ隊。2014年の「雨傘運動」の象徴である黄色い傘も目立つ
このデモの前日である15日、一人の35歳の青年が黄色いレインコートを着たまま自ら命を落としました。今回の「改訂草案」に抗議するための死だったといいます。その青年の死を追悼するエリアがあり、多くの香港市民が献花をする姿も。

自死した青年を追悼するスペースには多くの人々が手を合わせていた
16日のデモは時間が経つごとにその人数が増えてゆき、同日夜9時過ぎには「190万人」という参加者数がツイッターなどで投稿されました。
昨日香港政府が改正案の延期を発表しましたが、今日たくさんの香港市民がデモに参加して撤回を求めました。 pic.twitter.com/qb3bX5FdvO
— 周庭 Agnes Chow Ting (@chowtingagnes) 2019年6月16日
夜9時を過ぎても一向に減る様子のない香港デモ。九龍側のホテルに帰ってからテレビをつけたところ、その数はさらに増えているように見えました。

ホテルの現地テレビ放送を見ても夜9時を過ぎてますます人が増えている
そして、このデモは日付の変わる夜12時を過ぎても続き、主催者側はこの日のデモ参加者が200万人に達したと発表。香港史上最大規模のデモとなりました。現地の夜の様子は、多くの香港市民そして現地入りした日本人によってもTwitter等のSNSで投稿されました。最後に、世界中の人々を震撼させた、香港市民たちの怒りと危機感を伝えるツイートをまとめてみました。
Twitterで見る香港200万人デモ
救急車に道を譲る香港デモ隊
Hong Kong protesters giving way to an ambulance
Credit: EYEPRESS NEWS#香港加油 pic.twitter.com/oCuu84KjXX— yamada_ryoko (@ryoko90321) 2019年6月16日
Now #hongkong 今の様子 pic.twitter.com/zu9yyQYRIF
— Jinhee Lee 李真煕 (@masahiroleej) 2019年6月16日
すごい、、、、
190万人 pic.twitter.com/wC8Dw26IM0— よう (@yoh76415) 2019年6月16日
190万人!18時半時点で抗議デモに参加してる市民は190万人と主催発表!
まだ増えてる😭香港の総人口は700万強!
デモ隊の列は地下鉄7駅分以上続いてる。逃犯條例(逃亡犯条例)改正案の廃案を求める抗議デモ。先頭方向の湾仔の今!#暫佢老母 #反送中 #逃犯條例 #香港 #hongkong #香港加油 #香港人加油 pic.twitter.com/tJY5yGkhLE— Rie(りえ)☂ (@japanavi) 2019年6月16日
いまの香港です。
まだまだ立法会の周辺にはたくさんの人が集まってます。
主催者発表では参加者が200万人にものぼるそうです。民衆の力を肌で感じます。#香港#HongKong #香港加油 pic.twitter.com/UUitcrDIdF— asahifukuhara (@asahifukuhara) 2019年6月16日
【香港発~連投6】
夜9時を過ぎたのだが、デモ参加者はむしろ増えた。場所は政府庁舎が集中し立法院のある金鐘。
彼らが雨傘革命(2014年)の時のようにオキュパイすれば、政府機能はマヒする。
林鄭・行政長官はこの光景を映像で見ているはずだ。
=16日午後9時10分 撮影:田中龍作= pic.twitter.com/aQyFCdGSsY
— 田中龍作 (@tanakaryusaku) 2019年6月16日
5月から再収監されていた雨傘運動のリーダー黄之鋒(ジョシュア・ウォン)が今日10:30に釈放。200万人の大規模デモから一夜明けて抵抗運動のシンボルが帰還…って香港映画かよ。刑期半ばで突如決まった早期釈放が「当局の意思表示なのか通常手続きなのかは不明」とのことhttps://t.co/n3sw9Ll2Fu
— junkTokyo (@junktokyo) June 16, 2019
香港市民の皆様に、一刻も早く平穏な日常が戻ることを願うとともに、今後も「自由」と「民主」が維持されることをお祈りいたします。
Photo by: MAG2 NEWS編集部(シュウマイ)