韓国チェーンも破産させた「ケンタッキー」が日本で一人勝ちな訳

 

その理由はです。

独特の味つけがあり、その味でなければ、地元民は食べなかったのです。つまりは、慣れ親しんだ味を提供する、地元のフライドチキン市場が強過ぎKFCの入る余地はなかったのです。食べ慣れた味から脱するのは、勇気のいることです。また、その味を手放したいとも思っていません。だから、KFCは勝てなかったのです。

この例と同じように、日本人は唐揚げが好きで、それを手放してまで、フライドチキンを食べたいとは思わないのです。グアテマラと少しだけ違うのは、唐揚げとフライドチキンの味の方向性です。方向性が違うので、たまにはフライドチキンを食べたい、となるのです。

グアテマラでは方向性が同じだったので、KFCが消え去ることとなったのです。日本では固定された市場規模で生き残り、グアテマラでは敗北しましたが、どちらも慣れ親しんだ味には勝てなかった、ということです。こうした理由で、日本のKFCにはライバルが存在しないのではないかと推察しています。

……ところが。2014年7月渋谷に韓国のフライドチキンチェーン店BBQの直営店がオープンしました。世界57ヵ国・地域に約3,750店を展開しています。このニュースに驚きはしましたが、定着するかどうかは疑問に思っていました。

私の仮説が正しければ、定着することはないだろうと踏んでいました。日本に進出するのは、無謀ではないのか。KFCのライバルにはなれないだろう。……と、進出当時は予想していましたが、その通りとなり、日本法人は2016年破産手続きを取り、事業停止となりました。その後、韓国発のフライドチキン店が再上陸しているようですが、まだまだ規模は小さく、今後は未知数です。

日本のフライドチキン市場はたった1社であるケンタッキーの独占状態であることに変わりはありません。市場規模そのものが拡大しない限り、ライバルの入り込む余地はないのです。

image by: Bankrx / Shutterstock.com

佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント)この著者の記事一覧

なぜ、人はモノを買いたくなるのか。欲しいという感情は、どこから生まれるのか。消費行動における人の心理を知れば、売れるモノが見えてくる。売り方がわかる。小手先のテクニックなど、いらない。人を研究すれば、やるべきことはすべてわかる。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座 』

【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

print
いま読まれてます

  • 韓国チェーンも破産させた「ケンタッキー」が日本で一人勝ちな訳
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け