死者も出た中国の嘘ニュース。日本も対応迫られる「公害」の正体

 

私は日本の議員や地方の活動家を台湾研修に案内したことがありますが、国会にあたる立法院では「中華民国建国の映画鑑賞から始まります。そこでは孫文が白馬に乗って陣頭指揮をとる映像が出てきます。

ところがこの映画からしてウソだらけなのです。というのも越人の孫文は革命資金の濫用を呉人の章炳麟や陶成章に告発され、革命同盟会が空中分解、追放された形の孫文はアメリカで隠居しているところ、デンバーで見た新聞で初めて辛亥革命が起きたことを知りました

革命資金を集めるためにヨーロッパを回って帰国、北京政府の袁世凱に対抗するために、軍事力のない文人としての孫文が支持を得て南京臨時政府の臨時大総統に選出されたものの、孫文は北京政府に南京臨時政府を売り渡したというのが中華民国史の史実なのです。

「毒を喰らわば皿まで」という文化伝統からウソが歴史の法則となり、教育はもっぱら愚民化、奴隷化のための道具となってきました。

中国のフェイクニュースも、こうした愚民を対象としたマインド・コントロールなのです。たとえば台湾でよく言われる「中国と統一すれば、台湾ドルは5倍の価値に急騰する」などという噂もそのひとつです。

フェイクニュースのことを台湾では「烏龍消息」と呼んでいます。ことに学校教育やマスメディアにフェイクニュースが溢れており、台湾はここ70年にわたり被害者として毒を飲み続けてきました。

あまりにも害が深刻であるため、2019年5月になって、取締強化のための立法化を果たしたわけです。とはいえ、本当にフェイクニュースを根絶できるかどうかは別問題です。

台湾の「オジサン」と呼ばれる長老たちは、よく台湾人を近代養鶏場のニワトリにたとえます。エリートたちは唐揚げにされるチキンです。戦後約70年、台湾人はニワトリのように飼料で飼いならされ、タマゴを生み、いつ唐揚げにされるかわからない存在だというのです。

中国では、政府の主張にネット上で「いいねと賛同するたびに5セント分のカネが貰えるというアルバイトをする人たちがいて、彼らは「五毛党」と呼ばれていますが、アメリカCIAの調査では、五毛党のほとんどが政府の役人だといいます。

ソフトパワーのない中国は、世界各国で情報操作などによる世論工作、いわゆる「シャープ・パワー」を行使しています。しかも、「一帯一路」をふくめ中国の世界戦略のほとんどが、カネで他者を釣るというものです。

したがって、アメリカの対中戦略としては、中国を兵糧攻めして資金を枯渇させることで、中国の手足を縛ることが重要になってきます。

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