与え続けることができる人は「成功」と「大損」の間で生きている

 

典型的テイカーの驚くべき行動

ごく最近、ボクは典型的なテイカーと出会いました。

仮にAさんとしましょう。

Aさんは、Facebookでつながっていたことも覚えていないくらい縁が薄く初対面以来お会いしたことのない人です。

そんな人がFacebookで急にメッセージを送ってきて「ピッチコンテストに出るからアドバイスが欲しい」とのこと。

まぁ、軽くアドバイスくらいはと思い、ちょこっとだけポイントをお伝えすると、今度は「動画を送っていいですか?」とおっしゃる。

まぁ送ってくる分には構わないので「どうぞ」と返すと、YouTubeのリンクが送られてきました。

まぁ気が向いたら見ようかなと思っていたら、10分後くらいに「見ていただけましたか?アドバイスください」と畳みかけてきました。

もう完全にボクの時間を使うこと前提で思考が固まっていたようです。

ちなみにその時ボクは海外にいたので、「時差があるのでもう寝ます」とメッセージを送ってベッドに入ってしまいました。

ここまでならそれほど強く「この人はテイカーだ」とは思いませんでした。

問題は、その後です。

帰国して2日ほどすると、かみさんがスマホを見てえらい動揺していました。

何事かと思ったら、Aさんがかみさんにもう帰国しているはずだから動画を見てアドバイスを送るように言ってくれとメッセージを送っていたのです。

かみさんも、会ったのは一度だけ。

なかなかのツワモノです。

とはいえ、大舞台に立つにあたってアドバイスが欲しいのは分かります。

そんな人たちのために、ボクは2年前にプレゼンのノウハウ本を出版しています。

そこにポイントは書いてあるとボクもかみさんも伝えたのですが、「後で買いますと言って結局買わずじまい

本人は「自分にとって最も都合のいい形での情報提供」を求めているのであって、ボクの著書などには興味はなさそうでした。

テイカーを見極めるポイント

ちなみに、Aさんが間違いなくテイカーであると確信したのは、依頼のメッセージに書かれていた「ピッチコンテストで入賞する目的」でした。

そのコンテストで上位に入ると、どうやらシリコンバレーなどに招待されるそうなのです。

そして、「私はどうしてもシリコンバレーに行きたいのでアドバイスください!」と書いてありました。

その時に思った正直な気持ちは、こうです。

「なるほど、Aさんはシリコンバレーに行きたいから、コンテストで上位に入りたいんですね。でも、それってボクには関係のない話だし、今まで特にご縁もないのに、なんでボクが時間を割かなくちゃいけないんでしょう」

冷たいようですけれど、ボクの大事なコンテンツであるプレゼンに関するノウハウを、メッセージ一通で引き出せると思うあたりがテイカーたるゆえんです。

そして、あくまで主語は自分」です。

「私はシリコンバレーに行きたいからアドバイスが欲しい」といわれてボクが動くのは、相当信頼関係が強かったりボクが何かしら大きなギブを受けた相手に限られると思います。

大した縁もないのに自分を主語にして相手の時間やお金を手に入れようというのは、まさしくテイカーの思考ですね。

これがもし「私の考えたサービスが広がればもっと世の中がよくなるはずなんです!手伝ってください!」と言われれば、状況は変わるかもしれません。

そのサービスの目的や内容に賛同できれば、ボクが協力したくなる可能性も少なからずあります。

でも、自分都合だけを押し付けられても、それは知らんがな、ということにもなるわけです。

テイカーの特長は、この「自分の都合を押し付ける」というところです。

今回のAさんは極めて露骨でわかりやすいテイカーだったので対応が簡単でしたが、時々狡猾なテイカーもいます。

それは、まるで「あなたのためですよ」「世の中のためですよ」という感じを装って、搾取にいそしむ輩たちです。

その究極が、詐欺師ですね。

見極めるためには「相手が求めているものは誰のためになるのか」を注意深く探る必要があります。

どう考えてもギブをする自分のプラスにはならず相手もそれを知ったうえで搾取しようとしているのであれば間違いなくそれはテイカーです。

テイカーとはなるべく取りつつ、世の中に対してインパクトを与えていくギバーになるためにはどうすればよいでしょうか。

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