まるで生き地獄。消費税が上がるとサラリーマンの給料が減る理由

 

法人税を減税すればサラリーマンの給料が下がる

このメルマガでも何度もご紹介してきた通り、消費税というのは、社会保障費にはほとんど使われていません企業や高額所得者の減税の穴埋めに使われてきたのです。消費税が導入され、税率が上がるたびに、法人税や高額所得者の所得税が減税されてきました。消費税が導入されたとき、消費税が3%から5%に引き上げられたとき、5%から8%に引き上げられたとき、その直後に相次いで法人税、所得税などの減税が行われています。そして、今回も法人税の減税が検討されています。

所得税の税収は、1991年には26.7兆円以上ありましたが、2018年には19兆円にな
っています。法人税は1989年には19兆円ありましたが、2018年には12兆円になっています。つまり、所得税と法人税の税収は、この30年の間に、14.7兆円も減っているのです。一方、現在の消費税の税収は17.6兆円です。つまり、消費税の税収の大半は、所得税と法人税の減税分の穴埋めで使われているのです。

法人税が下げられれば、サラリーマンも得をするのではないか、と考える人もいるかもしれません。企業が得をすることは、企業の中にいる社員も恩恵をこうむることができるのではないか、と。しかし、それはまったくありません。会計の仕組み上、法人税が下げられればサラリーマンはむしろ損をすることになっているのです。

先ほど、消費税が企業の人件費を引き下げる圧力があると述べましたが、法人税は逆に企業の人件費を引き上げる圧力があるのです。だから、法人税が下げられれば必然的に人件費を引き下げる圧力になるのです。

どういうことか簡単にご説明しましょう。法人税が高い場合は、企業は必要以上に利益を出さないようにします。利益を出しても税金に持っていかれるからです。企業は儲かっている時や金に余裕があるときは、税金を払わないために積極的に経費を使おうとします。当然、社員の給料もたくさん出そうとします。これは、もちろん景気対策にもなります。企業がなるべく経費を使い、社員の給料を上げるようになれば、世間の消費は増えるからです。

ところが、法人税が減税されればどうなるでしょうか?企業はなるべく利益を多く残そうとします。となると経費は切り詰め、社員の給料には下げ圧力が加わります。会社が儲かったとき、その利益にはあまり税金がかからないから利益として残した方が得になるのです。実際のところ、バブル期までの法人税は今よりも50%以上高かったのですが、サラリーマンの給料はうなぎ上りでした。そして1999年の法人税大減税以来、サラリーマンの平均年収は下がりっぱなしなのです。法人税が下げられたから、企業としては何も考えずに利益を上げることだけに集中してしまうのです。その結果、会社の内部留保金が世界一レベルで積みあがっているのです。

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