この「嫌い」と同類のネガティブワードとして考えられるのは、「気持ち悪い」「反対」「合わない」など。いずれも、自分の価値観を表明するだけの性質で、他人とは違う可能性があるばかりではなく、もしかしたら自分だけがそう思っている場合もあるでしょう。ですから、「気持ち悪い」「反対」「合わない」も、「嫌い」と同様のコツで、言い換えが可能です。
なかでも、「気持ち悪い」「合わない」はどちらかというと、自己中心的なニュアンスを伴いますから、言い換える習慣をつけた方が、ものの見方が多角的になり、人としての視野が広くなります。
例えば、虫を見つけて「気持ち悪い!」と叫ぶのも、まぁ、それはそれでカワイイですし、動物的な本能、危険察知能力などだともいわれます。でも、虫の側だって、長い歴史の中で、ゆえあって、その姿をしているのであり、ひとつの命という意味でも、人間と何も違わない存在です。
動物的な本能で気持ち悪い!と言ってしまうところを、人としての想像力や理性で、別の表現に言い換えられるほうが、圧倒的に穏当で平和ですよね。虫に出会っても、色がピンクだったら好きになれるかもしれない!そんな想像力が、話す自分も聞く人も、幸せにします。
その、気持ち悪い!の相手が、人間であれば、なおさらですね…。
「反対」を表明するときの言い換え術
いっぽう「気持ち悪い」「合わない」とは違って、「反対」は、言わざる得ない時があると思います。「反対」するのも、「気持ち悪い」のと同じく個人的な価値観ではありますが、なんらかの合意が求められている場面ですからね。
多数決で、賛成か反対かと問われれば、ストレートに反対と表明しても良いと思いますが、「反対」を言い換える必要がある理由は、生理的な嫌悪感やわがままだけで反対しているわけではなく、その反対に正当性があることを、聞き手に理解してもらい、欲を言えば自分への賛同者を増やしたいからです。
そういう意味で「反対」を言い換えるとしたら、賛成できない、しかねる、などの言い方がありますね。「賛成(賛同)しかねる」という表現が優れているのは、〇〇だから賛成しかねる、と、必ず理由が伴う言い回しだからです。
「嫌い」と言わない方法と同様に、
- まず、それに賛成の人の立場、価値観に思いを巡らせること
- しかし少なくとも自分は「賛成できない」価値観であること
- どこが、どう、どうして、賛成できないのか?を明らかにし
- 賛成できるためには、それがどうなればいいのか?
これらの要素を伴わないと、それ単独で使いにくいフレーズなんですね。