多くの人が「増える年金」ではなく「減る年金」を選択する理由

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老後資金2,000万円問題の影響のせいか、在職老齢年金の見直し案について多くのメディアが報道しています。そもそも在職老齢年金ってどういうものだかご存知ですか?重要な話なのですが、意外と知らない人が多いんです。そこで、今回の無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』では、あまり知られていない日本の年金制度について会話形式で詳しくご紹介。自分の身に置きかけてみると…考えさせられてしまいます。

在職老齢年金の変更

老後資金2,000万円問題の影響なのか最近、年金の話題が新聞紙面を賑わしている。高齢者の厚生年金、在職老齢年金見直し案もいろいろ出てきているようだ。


新米 「在職老齢年金の見直し案が最近ずっと新聞に載ってますね」

深田GL 「そうだね。2,000万円問題の影響かな?65歳以上の年金が減る基準額の月収47万円をどうするか?ってことだね」

新米 「そうです。この間、厚労省が62万円にするって案を出したかと思ったら、50万円台になって、それもどうかってまた言ってるでしょ。そんなにコロコロ変わるもんなんですかぁ?」

所長 「厚労省が、社会保障審議会(厚労省諮問機関)の年金部会で60歳代の前半、後半の両方の基準額を62万円に引き上げる案を示したが、そうすると、年金の減額対象者が昨年度数字で41万人が23万人になり、受給者全体の割合は1.5%から0.9%になる。そうなると財政的にはマイナス、昨年度の数字でいうと9,000億円にも。結果、現役世代の将来年金給付水準が下がる。年金水準の悪化を懸念する声や高所得者を優遇しているのでは?という批判が出て、再検討しているんだよ」

大塚 「在職老齢年金は、働いた場合に得た賃金と年金の合計額が基準の額を超えると、年金が減る仕組み。いまの減額基準は、60~64歳なら28万円、65歳~は47万円ですよね」

E子 「うん、そうね。人生100年時代、今後定年の引き上げもあるだろうし、多くの人が70歳まで働くか、何歳から年金を受給するかっていうのも考えどころね」

新米 「そうですよねー。年金は、65歳支給開始が原則のところ、60歳~繰り上げ受給もできるし、70歳まで繰下げ受給もできる。実際には、皆さんどうしてるんでしょうね」

大塚 「年金の繰り上げは、1ヵ月早めるごとに基準額から0.5%減って行き、繰下げは1ヵ月遅らせるごとに0.7%増える仕組みですよね」

深田GL 「つまり、60歳に早めて受け取るとすれば、基準額の0.7倍に減り、70歳にすると1.42倍が生涯続くことになる」

E子 「で、実際には、国民年金だと2017年時点で減額になるにもかかわらず早く受給し始める人は30%以上も。一方、遅らせる選択をするのは1%台に過ぎない」

新米 「1.42倍に増えるのに1%ですか!」

所長 「そうらしいよ。僕らが受験勉強したときは、1.88倍とおよそ2倍で、大きな差だったよ」

新米 「え?2倍!?スゴイですね」

深田GL 「それでも前倒しが多いっていうのは、自分が長生きするかわからないということ、それに、年金財政の不安から制度が変わる前に早くに年金回収をしたいっていうこともあるだろうね」

E子 「遅い年齢で受け取る年金は、時間価値も小さくなってしまうからね」

新米 「そうか…!そういう考えもありますね」

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