読者からのさまざまな質問に回答してくれる、メルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』の著者で人気コンサルの永江一石さん。今回は、「試験的に導入されていたリモートワークが禁止され、復活させたい」という会社員からの質問への回答です。永江さんは、リモートワークの大前提から解説し、再導入するには、決めなければならないこと確認しなければならないことがあるとアドバイスします。
会社のリモートワーク制度を復活させるには
Question
私の会社では、半年くらい前から試験的にリモートワークを導入していましたが、先日リモートワークが禁止されてしまいました。理由は「きちんと自宅で仕事しているか怪しい社員がいる」「遅刻しそうになった社員がリモートワークに勝手に切り替えることがある」といったことです。
私は数回リモートワークを行い、きちんと自宅で仕事をしました。一部の素行不良な社員のせいでリモートワークが禁止されたことを、腹立たしく思います。これからリモートワークを復活させるためにはどうすればよろしいでしょうか?
永江さんからの回答
業務委託ではなく正社員の在宅勤務なら裁量労働制かと思うのですが、前提として裁量労働制のリモートワークはどんな職種でも成り立つわけではありません。詳しくは以前ブログに書きましたが、「厚生労働省令及び厚生労働大臣告示によって定められた業務」というのが細かく規定されているんです。
具体的には、公認会計士・弁護士・建築士などの士業や、編集・コピーライター・システムエンジニアなどの専門職等に限られており、単なる事務や経理などはリモートワークに適していません。
というのもリモートワークは成果が全てなので、会社に明確な評価基準がないと難しいから。おそらく「自宅で仕事をしているか怪しい」「遅刻しそうになってリモートに切り替えている社員がいる」という理由で禁止になったということは、会社が望む成果が出ていない証拠ですよね。そもそも裁量労働制として認められた職種なのか?を今一度見直した方が良いと思います。
裁量労働制は「成果」が全てなので、遅刻しそうだからとか、サボるというのはそもそも話題にならないはずです。サボって成果が上がらないのならその本人が裁量労働制の契約解除になるだけですから。
先日もシステム開発会社で社員が過労死したというニュースがありましたが、裁量労働制のリモートワークをするには自分で自分の業務量をコントロール出来る人じゃないとパンクしてしまいます。だからある程度の能力が必要な専門職に限られているのです。
● 裁量労働制の28歳過労死 制度適用後すぐ36時間勤務:朝日新聞デジタル
一方で、それが出来れば自由を叶えてくれる働き方でもあります。一例ですが、セールスフォースでは営業以外はリモートワークが奨励されており、会議も基本的にネット経由、ある日本のマネージャーはハワイ在住だそうです。
「成果」が全てなので、出せないと去るしかありませんが、出せるなら出勤の意味自体が無いということです。
まとめると、リモートワークを復活させるにはまずリモート時の評価基準をきちんと定めること。もし達しない場合はリモートワークは不可能なので、一度裁量労働制に適した職種かどうか確認した方が良いと思います。
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