列島を襲う「大暖冬」。損害を被る人から恩恵を受ける人まで影響まとめ

2020.01.14
by tututu
 

大暖冬に自然も驚いている

この「大暖冬」に驚いているのは人間だけではない。季節感が狂ってしまったのは動物たちだ。暖かい気温が続くことから、冬眠することを忘れてしまったのか、石川県金沢市をはじめ、各地でクマが出没。エサを求めて山から里に下りてきているという。シカやイノシシ用のわなに誤ってかかってしまうクマもいるそうだ。

植物もこの暖かさで様相がおかしくなっている。中日新聞によると、名古屋市中区三の丸一の外堀通沿いで13日、開花しているサクラが観察されたという。花の下には数個の膨らんだつぼみも。この日の名古屋市の最高気温は11.6度で3月上旬並みで、前日に比べ1.7度高かった。

桜が咲く一方、さらに季節をもう一段階勘違いしてしまったのが、夏に咲くはずのヒマワリだ。静岡県南伊豆町日野の「元気な百姓の花畑」で、季節はずれのヒマワリが菜の花に交じって咲いている朝日新聞が伝えている。例年だと、こぼれ種が芽を出しても12月ごろの霜などで枯れてしまうが、今年はそれほど寒い日がなく、春めくほど暖かい日もあった影響で数十本が花をつけたいい、管理する担当者も「こんなことは初めてだ」と驚いているという。

一方、我々の生活にはこんな影響も出てきている。雪不足のため農作物の雪室貯蔵ができず、農家が悲鳴を上げている。日本農業新聞によると、雪を利用した「雪室貯蔵米」を年間3000トン販売するJA北魚沼は、例年1メートルほどある積雪が今年はまだ数センチしかなく、雪の中に貯蔵できないという。

雪の保温効果を見越して土中で越冬させる野菜などは、雪がなければ土壌凍結が進んでしまい、作物が凍って傷む可能性がある。このまま雪が不足した状態では、どんどん作物がダメになってしまう。

大暖冬は経済にも波及

では、この「大暖冬」を経済の面から見てみよう。ユニクロを展開するファーストリテイリングは9日、今年8月期の業績見通しを発表し、純利益は1,650億円と従来の予想から100億円下方修正した。海外事業で見ると、韓国での不買運動などの影響があるが、国内では暖冬でヒートテックやウルトラライトダウンなどをはじめとした冬物衣料の売り上げが落ち込んだことが響いたようだ。ユニクロだけではなく、百貨店大手でも主力の冬物衣料品が低調だという。

衣料品に限らず、寒い冬向けの商品を扱う業態はなかなか売り上げを伸ばせていない。家電量販店では暖房器具が売れず、ガソリンスタンドでは灯油の売れ行きが悪いだけでなく、冬用タイヤへの交換も少ないという。

大暖冬の影響はマイナス面ばかりなのだろうか? しかし、その一方でこの暖冬の恩恵に預かっている人たちもいるのだ。

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