「ご当地もの」といえば、その地で古くから受け継がれてきたもの、または地元の人たちが生産から販売まで携わっているものと考えがちですが、どうやらそうとは限らないようです。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では著者で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、「ご当地コロッケ」の開発・生産受託で成功した大阪のビジネスモデルを紹介しています。
全国の「ご当地コロッケ」は、大阪で作られている!?
最近、観光地をめぐっていて、気づくことはないでしょうか。「ご当地○○コロッケ」というノボリを見ることが多くなったとは思いませんか。
たとえば、神奈川県江ノ島では「しらすブラックコロッケ」。長野県諏訪市では「野沢菜コロッケ」。兵庫県神戸市では「神戸ぼっかけコロッケ」。地元の特産品や名物を使ったコロッケが増えています。
食べ歩きの楽しさを知っている観光客が、その土地の味を経験するために、買い求めているのです。そこでしか食べられないものに、興味津々なのです。
他にも、「イカの塩辛コロッケ」「ゆず」「アーモンド」「お茶」「甘海老」「しそ」「はたはた煮」「丹波黒豆」「米沢牛」「いちじく」「たけのこ」「牡蠣」「ひじき」などがあります。その土地ごとにさまざまな工夫があり、ご当地らしさを表現したコロッケが、たくさん見られます。
お客さまも喜んで買ってくれるので、観光地におけるビジネスとしては、確実性の高いモデルなのではないでしょうか。名物づくりに悩んでいる地域は、ご当地コロッケの開発に取り組んでみてはどうでしょう。
その際に役立つ、興味深い話があります。私がここにご紹介したご当地コロッケは、すべて大阪で作られていると言ったら、驚くことでしょう。観光客の誰もが、ご当地で作られていると思い込んで食べていますが、実は大阪で開発され、大阪で作られているのです。ご当地では、それを揚げているだけなのです。
この会社、全国のコロッケを100種類以上も開発しています。各地のお店や企業が、この会社に相談を持ちかけ、開発から製造までを委託しています。
なぜ、この会社に依頼するのかというと、味や実績はもちろん、1,000個単位の少ロットでの発注を受けてくれるからです。通常、食品会社に依頼するには、1万個の発注が必要です。しかし、少ロットなので、小さなお店でも依頼することができるのです。その結果、全国からの相談が増え、各地にご当地コロッケが増えていったのです。
庶民的なコロッケと言えども、特徴のあるものを一から作り出すには、時間と手間が掛かりますし、かつ難しいものです。そこに目をつけたところが、この会社の素晴らしさです。優れたビジネスモデルだと言えます。“ご当地”を信じて食べるお客さまとしては、ちょっと疑問が残りますが……。
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