ミスもあり特別有能でもない。それでも米国の給付金が早い理由

 

もう少し詳しく説明しよう。もともと、毎年、アメリカでは毎年の確定申告を自分でするアメリカ人が多い。日本では個人事業主以外はすべて会社がやってくれるがアメリカは違う。一般的な会社員はほぼ全員が自分で行う。

しかも最近はじまった制度ではなくずっと昔からで、その際にソーシャル・セキュリティ・ナンバー(日本でいうところのマイナンバーのようなものだが保管管理意識はまったく違う)を使って申請する。

また、単に申請するだけでなく、人によっては追加の税金を支払ったり、逆に払い戻しがでたりもする。なので、銀行口座を連携して登録している人が多い。そして、インターネットが普及し、Eファイリング(オンライン申請)も幅広く使われるようになり、多くが電子管理されていたので、今回のように素早く給付金を支払えたのである。

毎年の納税手続きを支援するウェブサービスは非常に発達しており、私もアメリカで働きはじめた2009年から10年以上使ってる。というか、確定申告をしはじめたのが2009年だっただけで、その時点ですでにEファイリングがあったということはそれよりずっと以前からあっただろう。

しかも、そうしたウェブサービスは、毎年、いろいろ変わる税制に対応し、(例:大きな災害への支援など)納税時に間違うことがないようウェブ上で納税手続きを導いてくれる。

また、こうした納税支援のウェブサービスは、過年度の連邦税(フェデラル・タックス)と州税(ステイト・タックス)の資料をウェブ上で保管してくれていて、過去5年分のPDFをいつでも無料で確認可能だ。それ以前のものも、1つ数十ドル(数千円)で確認できたりもする。

とにかく、そんな感じで納税支援のウェブサービスなどを活用し、アメリでは、毎年、普通に一般社会人は自分の銀行口座から納税額を振り込んだり、すでに過払いしている場合は返金が申請後、これも比較的早く自分の銀行口座に振り込まれるので、今回のように銀行口座でIRSからお金を受け取ることは、ごくごく当たり前のことなのである。

どれだけの人がEファイリングを使っているかというデータもでていて、2019年12月のIRSの発表によると、2018年分の納税をEファイリングした納税者は1億3821万人で、納税者全体の88.72%、約9割に達したとのこと。
Income Tax Return, eFile Statistics

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