日本各地で相次ぐ、百貨店の経営破綻や撤退。かつては隆盛を誇っていた百貨店ビジネスも、もはや滅びゆくしかないのでしょうか。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、百貨店運営会社が生き残るための究極の方法を披露しています。
百貨店は “デパ地下&物産展”だけで良い!?
百貨店の売上高は、右肩を下げ続けています。有名ショップのテナント誘致やリニューアルなど、あらゆる手を打ってはいますが、右肩を上げることはできていません。もはや、「百貨店不要論」を否定し難い状況となっています。
百貨店を上から下まで歩いてみればすぐにわかりますが、“賑わい”など、まったく感じません。人の集まっているのは、決まった場所のみ。お客さまに、「百貨店に行く目的は何か?」を問えば、必ず次の答えが返ってくるでしょう。
「地下食料品売り場」「物産展会場」「お中元・お歳暮特設会場」。
ほぼ間違いなく、この3つしか答えはありません。すなわち、それ以外は必要ない、と思っているのです。実際、百貨店の売り上げを構成する内訳は、この3つの比率が非常に大きいのです。
老舗百貨店であれば、外商の比率が高くなりますが、それも右肩下がりで、今後は期待できません。現状を見る限り、食料品と贈答品しか、売れていないことになります。
百貨店全盛期には、“上等なもの”を求めるのは、すべて百貨店でした。特にファッションに関しては、百貨店で買うことをステータスとさえ思っていたのです。
ところが、ファッションビルが次々と開業し、ブランド直営店がやって来たことで、百貨店に魅力を感じなくなってしまったのです。ファッションの占める割合が多い百貨店には大打撃です。
しかし、何も手を打たなかったのです。その結果が、「百貨店不要論」です。
また、最近の百貨店で気になることがあります。以前なら、百貨店に行けば、自分がVIPであるかのような錯覚をしていました。
一歩足を踏み入れると、両サイドで店員さんが深々と頭を下げ、「いらっしゃいませ」と笑顔で迎えてくれました。
中に進んで行くと、売り場からもお辞儀をされ、くすぐったいながらも気持ちの良いものでした。商品を見ていると、程よい距離感を保ちつつも、必要な時には声を掛けてくれます。
しかも、腰は低く、丁寧な言葉遣いで、最上級のもてなしをしてくれました。
ところが、最近の店員さんは……。ひと言で言うと、“雑”。“おもてなし”を知りません。スーパーの店員さんと入れ代わっても、気づかないでしょう。接客がなっていないのです。そんな百貨店のどこに魅力があるのでしょうか。
やはり、不要なのでしょうか。
個人的には、「地下食料品売り場」と「物産展」は残して欲しいと思います。百貨店でしか楽しめないものですから。
「お中元・お歳暮」に関しては、いまやネットで簡単に贈ることができるので、徐々に少なくなると予想しています。となると、地下と物産展だけで良いことになります。
ならば、建物すべてを「デパ地下」と「イベント会場」にしても良いのではないかとさえ思います。極論かもしれませんが、可能性はゼロではありません。面白い空間ができると思いますが、どうでしょう。
そこまで冒険できないならば、「デパ地下」「イベント会場」以外をテナントで埋める、商業ビルとして営業していくしか、生き残る道は無いのではないでしょうか。そうなると、もはや百貨店ではなくなりますが。
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