森会長という「木」を見て「森」を見ぬ、女性蔑視社会ニッポン

 

これまでも「叩くべき悪者」が出てくると、安全地帯にいる人たちが石をなげ、批判を繰り返してきました。

近い話題でいえば、9月の自民党の総裁選のとき、岸田氏が投稿したツイッターの写真に批判が殺到したときのことを覚えていますか?

「夜のテレビ出演の合間に、地元から上京してきてくれた妻が食事を作ってくれました。ありがたいです。」というコメントと共に、夕食が用意されたダイニングテーブルに座る岸田氏と、その横に立つエプロン姿の妻を投稿。それに対して、「まるで召使」「お手伝いさんかと思った」「対等な関係とは思えない」「女性観古過ぎ」「これで好感度上がると思っているのか?」「なぜ、座らせない?」「立ってるってどういうこと?」などなど否定的な意見が殺到しました。

一部メディアはこの“プチ炎上”を取り上げ、「日本のリーダーを目指す政治家としてあまりに無自覚過ぎる」と一刀両断。9月3日に行われた岸田氏の「岸田ビジョン(政権構想)」の発表会で、岸田氏が記者の質問に「事情説明」する事態に発展したのです。

岸田氏にはそれに答える絶好のチャンスがあった。記者に突っ込まれた時に、ポスト安倍を狙う“政治家さんらしく”「女性活躍」問題に言及して欲しかった。メディアもそこにはいっさい突っ込みませんでした。

なぜ、あれだけ安倍政権は2012年12月の発足以来、「それ、女性活躍だ!」「ほれ、30%だ!」と、女性、女性、女性、と言い続けてきた。「社会のあらゆる分野で2020年までに、女性が指導的地位を占める割合を30%以上にする目標を確実に達成する」とした目標は、ついに達成されず、7月には達成を目指す時期を「2020年代の可能な限り早期に」という、全く意味のないフレーズに変更したのです。

それは「女性活躍はね、ただのキャンペーンだもん!」と認めたのに等しい。

この問題は「森氏の問題発言」とはレベルが違うと思われるかもしれません。でも、根っこは一緒です。

問題発言はJOCの評議委員会は、「スポーツ庁が示した競技団体が守るべき指針のガバナンスコードでは、女性理事40%以上が目標」の流れの中で出たものです。

であるならば、それを笑って終わりにすることはおかしい。その発言を「森氏の問題だけ」にするのもおかしい。なぜ、「女性理事40%が目標」なのか?なぜ、それを実行できないのか?

そこを議論しなくて、いつ議論するのか?なぜ、「クオーター制」の議論に向かわないのか?

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