バイデンの皮算用。中国という「敵」は分断の米国を一つにするか?

 

もう1つが、最低賃金を時間給7.25ドルから15ドルへ引き上げるという。企業経営を圧迫してしまい、150万人規模の失業者が出るとも言われている。

そして、これらのために、大幅な財政赤字になるので、どこかで富裕層への増税が必要になる。法人税の増税も必要であり、これにより最低賃金UPと合わせて企業業績が落ちてしまう危険性もある。

この政策で貧富の差を埋めるというが、失業者が増える問題を引き起こすことになる。民主党左派の政策を見ると韓国の文大統領の政策との共通性があるようだ。貧困解消が、より一層の貧困を生み出すことになる。

コロナ対策でも、米国は死者数が50万人を超えたものの、感染拡大の転換点にあるようだ。新規感染は1カ月前に比べ半分程度に減り、死者数も減少傾向にある。

マスク着用でも、ワシントン大学保健指標評価研究所によれば、全米での着用率が77%と過去最高に達して、ワクチン配布に関しても、全成人の接種に十分なワクチンを7月末までに確保できるとした。コロナ時代に最も安全な国ランキングでも米国は8位に上昇している。ここでは成果が出ている。

そして、バイデン米政権が基幹産業を支える重要部材のサプライチェーン見直し、半導体やレアアースなど4品目で中国に依存しない調達体制を築く。日豪など同盟国の企業との連携も模索するとした。

バイデン大統領は、半導体・高容量電池・医薬品・重要鉱物──について供給網の問題点と対応策を検討するよう求める大統領令に署名し、重点的に取り組む4品目は「米国の競争力を維持・強化するのに必要不可欠だ」と指摘した。

逆に、一方でトランプ前政権の対中政策を引き継ぐようだ。国家安全保障の脅威になるテクノロジー関連のビジネス取引について、商務省に禁止する権限を付与する内容で、トランプ政権下の昨年11月に提案されていた。米国のサプライチェーン(供給網)の安全確保を目指す広範な取り組みの一環。

しかし、バイデン政権はテクノロジーに関する対中政策を全般的に見直す中、この規定の発効は先送りされるとみられていたが、そのまま行うようである。

そして、トランプ氏の大統領令に基づき、NY証券取引所は、中国石油大手の中国海洋石油(CNOOC)の上場廃止手続きに入ると発表した。3月9日から取引停止される。

というように経済的な面では自立する方向で、かつ中国の強化を助けないような施策になっている。

そして、トランプ政権時代の対中経済協定は、守ることを要求している。

その上に、バイデン米大統領が「中間層のための外交」という今までの民主党とは異質の外交方針を打ち出した。過度な対外関与を見直し、市井の人々の利益を第一に考えながら内外政策の統合をめざすという。

まるで、トランプ前大統領が提唱した「一般の米国民のための政策」と同じ思想である。トランプ革命思想は、形は違うが引き継ぐしかないようだ。ということで、米国の自国第一主義は続くことになる。「(トランプ政権の政策+オバマ政権政策)÷2」のような政策になるようである。

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