ヒトラーのソ連攻撃に匹敵する愚行。インドを本気で怒らせた中国

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アラスカで行われた外交当局トップ会談でも、アメリカ相手に一歩も引かぬ強気な姿勢を見せた中国。しかし彼らの覇権奪取の野望は潰える可能性が高いようです。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、インドを敵に回してしまった習近平政権をナチスドイツになぞらえ、中国の行く先を考察しています。

アメリカ―インド同盟が中国の覇権野望を粉砕する

第2次大戦で、イギリスは、圧倒的に劣勢でした。ナチスドイツは1940年5月~6月、アッという間にフランスを降伏させた。これで、大陸欧州は、ほとんどドイツの支配下に入った。1940年6月、イギリスは孤立無援。アメリカはまだ参戦しておらず、ソ連はドイツと不可侵条約を結んでいた。

しかし1941年、戦況は大きく変わりました。まず6月、ドイツは不可侵条約を破ってソ連攻撃を始めた。そして12月、日本が真珠湾攻撃したことで、同盟国ドイツもアメリカとの戦争に突入した。1940年、ドイツの敵は、事実上イギリス1国でした。それが1941年には、イギリス、アメリカ、ソ連3大国になっていた。これでは勝てるはずがありません。

さて、アメリカは現代のイギリスです。そして、中国は、現代のドイツです。

ナチスドイツは、ユダヤ人を大虐殺したことで知られています。一方、現代のドイツである中国は、ウイグル人100万人を強制収容するだけでなく、ウイグル女性に不妊手術を強要。「民族大量虐殺」(ジェノサイド)を行っていると世界中から非難されています。

● 全国民必読資料→ウイグル女性に避妊器具や不妊手術を強制──中国政府の「断種」ジェノサイド

第2次大戦がはじまったのは1939年。その79年後の2018年、トランプは「米中覇権戦争」を開始しました。

2020年、中国発、新型コロナパンデミックが世界を襲った。もっとも被害を受けたのは、アメリカでした。この国は、感染者数も死者数もダントツ世界一なのです。一方、現代のナチスドイツ・中国は、いち早くパンデミックを克服し、「一人勝ち状態」になりました。

2020年、中国は有利で、アメリカはボロボロな感じがします。しかし、同じ2020年、アメリカを救うことになる大事件が起こったのです。なんでしょうか?こちらです。

インドと中国、国境付近で衝突 インド兵20人以上死亡か

BBC NEWS JAPAN 6/17(水)11:38配信

 

インド当局は16日、中国と国境を争うヒマラヤ山脈地帯で両国軍が衝突し、インド兵が少なくとも20人死亡したと発表した。

 

両国軍の衝突で死者が出たのは、過去45年以上で初めて。このところ両国の緊張が高まっていた。

ドイツによるソ連攻撃は、1941年6月です。それからぴったり79年後、現代のナチスドイツ・中国は、インドと戦い死者が出た。

インドは、伝統的に「非同盟外交」の国です。冷戦時代、世界は大きくアメリカ陣営とソ連陣営にわかれていた。インドは、どちらにも加わらず、「非同盟」の第三勢力を形成していました。そして冷戦後も、その伝統を堅持し、日本、アメリカだけでなく、ロシアとも良好な関係を築いている。国境問題を抱える中国とも、関係が敵対的にならないよう、注意深く行動していたのです。

インドが日米一辺倒ではない証拠があります。インドは2015年、中国、ロシアが主導する反米的組織「上海協力機構」(SCO)に加盟しています。しかし、2020年6月の国境紛争で、流れが変わりました。インドは、日本やアメリカに接近しはじめた。事実上の「反中同盟」である「自由で開かれたインド太平洋戦略」にも積極的に参加するようになりました。2021年3月21日時事から。

モディ首相が今月12日の日米豪印4カ国首脳会談への参加を決めたのは、国境をめぐる中国の一方的な現状変更をけん制したい意向が働いたためとみられる。

 

一方、米政府はオバマ政権以降、インドを取り込もうと腐心してきた。インドが「対中包囲網」に参加すれば、中国は日米豪3カ国と対峙(たいじ)する太平洋側だけでなく、インドと接する内陸側にも戦力を分散する必要が生じ、有利な状況をつくり出せるためだ。

 

バイデン米大統領は12日の首脳会談で、「自由で開かれたインド太平洋は4カ国の未来に欠かせない」と述べ、連帯感の演出に努めた。

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