国民の命より聖火リレー優先。菅政権「政治プロパガンダ」の本末転倒

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3月25日に福島をスタートした東京五輪の聖火リレーですが、予想だにしなかったところから痛烈な批判の声が発信されました。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、五輪の放送権を持つアメリカの放送局が発表した、「この火は鎮火すべきだ」との強烈なメッセージを含む記事を抜粋し紹介。その上で、聖火リレーを政治利用するため、コロナ感染拡大の最中に緊急事態宣言を全面解除した菅政権を、強く非難しています。

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聖火リレーという政治プロパガンダ

菅義偉首相は3月21日、東京、神奈川、埼玉、千葉の4都県で継続していた緊急事態宣言を2カ月半ぶりに全面解除しました。しかし、会見での菅首相の説明は、まったくもって意味不明なものでした。それは「感染者数は微増の傾向が見られ、人出が増加している地域もあることからリバウンドが懸念をされております。変異株の広がりにも警戒する必要があります」と前置きした上で「このため宣言が解除される今が大事な時期」と述べ、引き続きの「マスク、手洗い、3密の回避」を要請した上での「全面解除」だったからです。

感染者数が増加していて、リバウンドの懸念もあり、感染力の強い変異株も広がっているので「緊急事態宣言を全面解除します」というロジック、あたしには1ミリも理解できませんでした。それは、まるで「今日は暑いのでストーブを点けましょう」と言っているような流れだったからです。それにしても、どうして菅首相は、これほどまでにトンチンカンなことを言ったのでしょうか。それは、初めから「3月21日の解除ありき」で決められた緊急事態宣言の延長だったからです。

今回の緊急事態宣言は、もともとは2月7日まででしたが、何の対策も打たずに指をくわえて眺めているだけの無能政権によって感染が拡大してしまったため、1カ月延長されて3月7日までとなりました。そして、2回目の期限の3月7日が迫って来ても状況は変わらず、再延長を余儀なくされました。しかし、多くの専門家が1回目と同じ「4月7日までの1カ月の延長」を主張したのにも関わらず、菅首相は「3月21日までの2週間の延長」を譲りませんでした。

専門家によると、新型コロナは感染してから検査で陽性と判断できるようになるまで2週間ほど掛かるため、その日に発表された感染者数は「2週間以上前に感染した人数」ということになるそうです。そのため、2週間の延長では、延長期間中にどれだけ増減があったのかが分からないまま解除を迎えてしまい、緊急事態宣言の有効性が判別できないのです。それなのに、専門家の助言を無視して、菅首相が強引に「3月21日までの2週間の延長」を押し通したのは、3月25日に東京五輪の聖火リレーがスタートするからです。つまり菅首相は、国民の命よりも東京五輪を優先したわけです。

そして3月25日、国民の命よりも優先された東京五輪の聖火リレーが福島県からスタートしましたが、それはあまりにも酷いものでした。道路いっぱいにコカコーラやトヨタなどスポンサー企業の巨大な宣伝用トラックが列を成し、大音量で音楽を流しながら行進したのです。トラックの上では、マスクもしていないDJが飛沫を飛ばしながら大声を張り上げ、沿道は人、人、人で埋め尽くされました。もはや「聖火リレー」というよりも「スポンサーの広告リレー」でした。そして、この様子を写真で報じたメディアは、IOCから72時間以内の削除を強要されました。

この直後の3月26~28日に実施された日本経済新聞社とテレビ東京による全国世論調査では、今回の緊急事態宣言の全面解除について、「妥当」が30%、「早すぎる」が52%という結果が出ました。緊急事態宣言に関しては、新型コロナの状況だけでなく、それぞれの仕事や生活などもあるため、立場によって賛否両論あるとは思いますが、この「聖火リレー」という名のバカ騒ぎに関しては、批判の声が大半を占めました。

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