菅首相はやっぱり“口だけ番長”か。渋沢栄一「150年前の言葉」に込められたメッセージ

 

世界に問われる菅首相の「実行力」

現在、大きなチカラが急務で、多くの人々のチカラを合わせることが不可欠な世の中になりました。2030年までに「誰一人取り残さない」SDGs、2050年までに「カーボンニュートラル」という温暖化ガス削減は大きなチカラ、多くの人々のチカラを合わせることがなければ実現できない壮大な目標です。

21世紀の文脈においてサステナビリティとグリーンは子ども世代の豊かな社会に欠かせない条件であります。コロナ禍の前には「気候変動問題は世代間の論争」という声も聞こえてきましたが、今は世界各国の本気度が増しています。

もしかすると今までの10年、20年、30年がITによって世の中のゲーム・チェンジが起こったように、これからの10年、20年、30年のゲーム・チェンジは「グリーン」になるかもしれません。子ども世代の豊かな社会に「グリーン」は不可欠です。

先月、菅首相は小泉進次郎環境相に気候変動担当を兼務させ、内閣官房に気候変動対策推進室が新設されました。産業界の代表や専門家らによる有識者会議も立ち上げられました。今年の国際政治カレンダーが、その背景にあるのでしょう。

4月中旬に日米首脳会談が開催される予定で、オリンピック開催やコロナ禍対策がアジェンダに乗ることは間違いないですが、気候変動問題にもかなり焦点が当てられるのではないでしょうか。

何故なら、4月下旬に米国は40ヶ国の首脳を招いて気候変動サミットを開催します。バイデン大統領が主宰する最初の大きな国際イベントになりますので、「グリーン」を通じて新政権の存在感を示すことは優先事項になるでしょう。

また、このサミットでは英国も立ち位置を意識するでしょう。G7が6月中旬に英国で開催される予定で、11月にパリ協定COP26会議が同じく英国で開催されるということを考えると、英国にも「グリーン」のアジェンダセッティングを掲げる国際政治的な動機が働くと思います。

このような舞台に、日本が「手ぶら」で参加する訳にはいきません。2050年のカーボンニュートラルを達成するために、2030年までの温暖化ガス削減の新たな目標を策定して宣言するのではないでしょうか。

お!と驚くほど、今までの日本の慎重な態度を覆す新目標が示されることが大事で、また、各国のグリーン主導権争いを考えると悠長に11月のCOP会議を待つことできません。今月の下旬に米気候変動サミットに向けて、インパクトある宣言に期待しています。

温暖化ガス削減の可視化の指標になる再生エネルギー比率の政府計画では、30年度の再生エネ比率は22~24%(足元は18%)ですが、経済同友会は30年に40%を提案しています。目を見張る新目標が宣言されるのか。子どもたちの豊かな社会のため、WEのため、飛躍が急務です。

□ ■ 付録:「渋沢栄一の『論語と算盤』を今、考える」■ □

『論語と算盤』経営塾オンライン 

『渋沢栄一 訓言集』国家と社会

国家を進め、国家を強くせんと欲するからは、
五歩十歩の進みを持って、小成に安んじてはならない。
他の列強と拮抗する程度まで、奮進せぬばならない。

日本人は真面目です。何が出来るか、出来ないかをきちんと把握してから意思決定したいという傾向があります。ただ、チマチマとした目標設定ではなく、大胆に。そうでなければ、世界の列強と肩を並べることができない、と栄一は唱えています。

『渋沢栄一 訓言集』国家と社会

国家の親善提供は、
言葉にあらずして、
実行にある。

言うだけで、実行がないことは信用を失う行為であり最悪です。また、言わないから、何もしないということは問題外です。やはりベストは言葉に表して、それ以上に実行することでありましょう。

謹白

image by: 左 公益財団法人渋沢栄一記念財団 - Home | Facebook / 右 首相官邸

渋澤 健(しぶさわ・けん)

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