五輪開催って正気か?忖度なしの海外メディア・選手らが菅政権を猛批判

 

ちょっと脱線しましたが、5月に入ると、海外メディアからの東京五輪への批判はさらに大きくなりました。5月13日には、フランスのリベラシオン紙が、一面に大きく東京の新国立競技場の写真を掲載し、「東京五輪はノックアウトか?」という記事を報じました。これは、東京に派遣されている記者による記事なので、日本の現状を的確に伝えています。

たとえば、「日本政府は、PCR検査数を増やすこともせず、ワクチン接種も遅々として進めず、医療体制の強化も行なわず、生活困窮者への必要な資金援助もせず、1年以上もウイルスの蔓延を放置している」と菅政権の無能ぶりを断じた上で、日本政府や五輪組織委員会が「安心安全な東京五輪」という言葉を繰り返す無責任さを厳しく批判しています。そして「日本政府が『安心安全』と言えば言うほど、これまで政府が日本国民のために何も行なって来なかったことが浮き彫りになる」と指摘しています。

一方、イギリスのザ・サン紙は、5月15日、ジャーナリストのトニー・パーソンズ氏による「貪欲な者たちがウイルスだらけの東京にアスリートを送り込もうとしている」というコラムを掲載しました。歯に衣着せぬパーソンズ氏は「信じられないことだが、世界中がこの1世紀で最大のパンデミックに陥っている時に、東京は今から68日後に五輪大会を開催すると言っている」「歓喜と団結の大会であるはずの五輪が、日本では人々の怒りを生み出す元凶となっている。日本ではわずか数日で五輪中止を求める署名が数十万も集まった」などと紹介しました。

そして、「私は自国での五輪に憧れる人々の気持ちが理解できる。そして、このようなことになってしまい、子どもの頃から五輪の栄光のために努力して来たすべてのアスリートに同情している」と前置きした上で、「しかし、日本は新型コロナの悪夢から抜け出していない。日本は、まだ感染症パンデミックの真っ只中にある」と述べ、「全国民の3%しかワクチンを接種していない日本に、世界205カ国から1万1,000人ものアスリートを入国させ、国民に不足している医師や看護師を五輪優先に使うことは、頭の狂ったカネ儲け主義者による無謀な行為である」と厳しく批判しています。

ザ・サン紙は、5月17日にも、2004年アテネ五輪のバドミントン混合ダブルスのイギリスチームの銀メダリスト、ゲイル・エムズ氏のインタビュー記事を掲載しました。エムズ氏は明確に「東京五輪は中止すべき」と述べ、「本来なら日本は数カ月前に中止を決断すべきだった。日本には感染の新たな波が来ている上、国民の60%が開催を望んでいない」と指摘しました。そして「誰もいないスタジアムでプレーしたことのあるアスリートたちは、皆、口を揃えて『バカバカしくてやってられない』と言っている。アスリートたちに家族の前で祝われる機会が与えられないなら、それは五輪とは言えない。ちゃんとした形で開催できないなら中止すべきだ」と、無観客開催も批判しました。

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