グローバリズムの先駆者・織田信長が教える現代日本が進むべき道筋

 

安部 「信長が流通に深く関わっていた側面も見逃せないと思います。織田家は木曽川河口の津島に勝幡城を構えて本拠地にしていましたから、伊勢湾海運と非常に密接に繋がっていました。大消費地である京都と大坂に繋がる流通路の喉首を握っていたわけで、そこから入ってくる収益はものすごく大きかったのです。

日本の大名というと往々にして石高何万石という形で計られがちですけれども信長の場合、ドル箱である港を押さえていたので、他の大名と違って自由に拠点を移すことができたのだと思います」

童門 「だから彼には土地を広げようという考えがあまりなかったんですね。信長は岐阜で撰銭令という、銭を選ぶ法律を出しています。日本は当時まだ鋳造能力がなかったから、中国の銭を使っていました。だけど欠け銭とか焼け銭とか、悪貨が非常に多いので、これはいかんということで、良貨を使えという命令を出しています。

それから、いまお話に出た伊勢、いまの三重県に、当時は六十数か所も関所があって、そこでいちいち通行料を取っていました。信長は、これは物流の妨げになるということで全部撤廃しました。ですから、信長が物流、経済を重視して、一つ所に命を懸ける『一所懸命』の土地至上主義から遥かに脱却していたという安部さんのお考えには賛成ですね」

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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