驕りにも似た感覚のズレ。朝日新聞「値上げ理由」に抱く強烈な違和感

 

そもそも五輪のオフィシャルパートナーになることが感覚のずれである。朝日新聞が企業としてパートナーの立場でありながら、社説で中止を訴えたことについて、朝日新聞の元編集委員でジャーナリストの山田厚史さんは、朝日新聞広報室に見解を質したところ、

社説は論説委員の合議でまとめています。報道機関である朝日新聞の言論のひとつです。

との返答だったという(「『社説』に渦巻く乱気流 朝日新聞への取材てん末記」ニュース屋台村)。

とすれば朝日新聞の言論はいくつかあることになる。

山田さんも返答には疑問を呈している。

守り一辺倒、だから聞いていることに、何も答えない。菅首相の答弁を批判できないな、と思った。入社した時の研修では「社説は社長直属の論説主幹が朝日新聞の主張を書く社論だ」と教えられた。いつから「朝日新聞の言論のひとつ」になったのだろう。

朝日新聞に書かれた主張は大きく社会に影響を及ぼすから、それら掲載された言葉は社運をかけた言論機関の柱のはずで、その柱が「ネット上にフェイクニュースが飛び交う今、新聞の役割は増している」寄る辺となるものだと理解している。広報室の回答は自らの存在を否定することにつながりかねず、残念。

さらには朝日新聞が1つの企業であることは重々承知をしながらも、言論という柱は民主主義の根幹だとの意識を高く持ち続けてほしい、と願うばかりだ。矛盾を抱えたまま、配達員に応援のお願いをさせるメディアが言論界のトップリーダーを自負しているのはあまりにも悲しい。

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image by: Osugi / Shutterstock.com

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