2020年5月28日付
タイトル「コロナ危機対応、欧州委が支援策148兆円「債務共同化」も」の記事。EUは、新型コロナウイルスの打撃を受けた加盟各国への支援策として、148兆円もの資金を予算に上乗せする。財源はEUが共同で借金をする形で市場から調達し、最長30年かけて28年以降に返済する計画。その財源の1つに「国境炭素税」を充てる考えが示されているという。
*この案に関しては、「借金をテコに、今まで実現が難しかった政策を進める狙いもあり、したたか…」との見方も。しかし、EUが「国境炭素税」を導入した場合、ロシアとの緊張が高まる可能性がある。「論座」に掲載されたロシア経済論が専門の研究者による以下の論文をチェック。
2020年11月10日付
タイトル「脱炭素化で遅れる日本 「国境炭素税」の導入も視野に(塩原俊彦高知大学准教授)」の記事は、EUが国境炭素税を導入すると、ロシアの石油・ガス輸出には大きな打撃となるという。その理由は…。
「ロシアの場合、ロシア産原油はサウジアラビア産原油に比べて二酸化炭素排出量が2倍近い。この差はロシアの埋蔵された原油がサウジアラビアよりも地中深くにあることや、原油に含まれる天然ガスの放出が顕著といった事情が関係している」
●uttiiの眼
全地球的課題として、二酸化炭素の排出を厳しく抑制しなければならないのは当然としても、「国境炭素税」については、各々の「国益」をかけた駆け引きと鍔迫り合いが、激しく戦われている印象がある。米国のシェールオイル、カナダのオイルサンド、そして地中深くにあるロシアの原油。いずれもサウジに比べればコストが高く、二酸化炭素排出量も大きいため、「国境炭素税」というEUの仕掛けが成功すれば、EUは相対的に浮上するチャンスを得ることになるだろう。プーチン氏がそれを黙って見ているとは思えない。
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