毛沢東の文革時代に逆戻り。自ら進める変革で“ラストエンペラー”となる習近平

 

現在、習近平は自らの「習近平思想」を学校教育で教えることを義務化し、さらにはジャック・マーら民間の成功した経営者への圧力を強めています。また、芸能界でのイケメン礼賛を「男の女性化」だとして是正を求め、テレビ出演者の服装まで取り締まるようになっています。

1989年の天安門事件の学生指導者であり、現在は台湾に在住している王丹氏も、「習近平は本当に第二の文化大革命を起こしたいと思っている」と明言し、「数年前、私たちは『狼が来る』と叫んで文化大革命が再びやってくると言った。今、オオカミが来ている」と論じています。

中國監管風暴擴大人心惶惶 王丹:習近平正發動二次文革

かつての文化大革命は、大躍進政策によって数千万人もの餓死者を出したことで、地位が危うくなった毛沢東が、失地回復するために起こしたものでした。そして習近平も、何ら目立った手柄もなく、むしろアメリカをはじめ他国の反中意識を高め、敵を多くつくってしまった失敗を糊塗するために、国内での締め付けを強化しているわけです。

そう考えると、「15年以内にイギリスに追いつき追い越す」と宣言して推進した大躍進政策が失敗したことと、2025年までに製造強国になるとして『中国製造2025』を掲げたものの、欧米から中国ハイテク企業が排除されている状況とも重なります。

また、毛沢東の文化大革命は、最初は「文匯報」に四人組の一人だった姚文元が京劇『海瑞罷官』の内容について、「人民公社を否定している」「(大躍進政策を批判したことで失脚させられた)彭徳懐の解任を批判している」と芸能批評を掲載したことから始まりました。今回の李光満氏の論評が芸能界の批判を行っていることも、毛沢東の文革と重なるところがあります。

毛沢東の文化大革命では、資本主義に走る者たちは「走資派」と呼ばれ、弾劾されました。「資本主義から人民中心へ向かう」文革2.0においても、走資派は攻撃の的となります。ジャック・マーもその一人なのです。

かつての文革では、ただでさえ個人主義の中国人のあいだで裏切りと密告が相次ぎ、人間不信社会が高進していきました。今回も、同様のことが起こりつつあります。鄭爽や趙薇は文革時代に吊し上げされ自己批判させられた反動分子なのです。こうした吊し上げは、これからも増え続けるでしょう。

まさに「万人による万人に対する闘争」です。誰も信じられず、相手を陥れることばかり考えるようになります。すでに中国のネット上では「密告ホットライン」が開設され、告げ口が奨励されるようになっています。

中国が「密告ホットライン」を開設、ネット民に告げ口を奨励

香港でも、国家安全維持法に関するホットラインが立ち上げられ、密告を奨励しています。とくに人権派、民主派の教員などが標的になっているそうで、約10万件の密告があったそうです。

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