なぜ、リトアニアは、台湾に同情的なのか?
リトアニアは、ソ連に強制併合され、抵抗しつづけた歴史から、自由や民主主義に対する思い入れがとても強い。彼らが台湾と中国の関係を見ると、かつてのリトアニアとソ連の関係に見えるのでしょう。
香港をみてください。中国の支配下に入れば、言論の自由、信教の自由、結社の自由は消滅します。民主主義は死に、「習近平の悪口をいったから逮捕された」ということが日常茶飯事に起こってくる。
リトアニアは、自分たちの歴史を思い出し、「台湾を助けなければ!」と決意したのでしょう。
リトアニアは、赤い龍(あるいはパンダ)を倒すか?
リトアニアは1990年3月、ソ連からの独立を宣言した。ドミノ現象が起こり、ソ連構成共和国が相次いで独立を宣言。ソ連は1991年12月、崩壊しました。
リトアニアは2021年11月、事実上の「台湾大使館」開設を許可しました。これに対して、中国紙は「ノミめ!」と罵った。
このリトアニアの行動が、再び「ドミノ現象」を起こす可能性があります。なんでしょうか?
中国は現在、
- 100万人のウイグル人を強制収容している
- ウイグル人女性に不妊手術を強制している
- 事実上の「民族絶滅政策」「ジェノサイド」を行っている
● 全国民必読記事
→ウイグル女性に避妊器具や不妊手術を強制──中国政府の「断種」ジェノサイド
ところが、現状「大騒ぎになっている」とはいえません。なぜ?
一つは、皆「チャイナマネーが欲しいから」でしょう。日本の著名なYさんも、「ウイグル問題は人権問題というより政治問題だ」と発言した。これも、要するに「チャイナマネーが欲しいから」でしょう。
もう一つは、「中国が恐ろしいから」でしょう。日本も11年前、レアアースを禁輸をされました。オーストラリアも、ひどい目にあっています。
「チャイナマネーが欲しい」
「中国は怖い」
この二つが理由で、中国を批判する声は小さい。それで、中国は好き放題やっている。
ところがリトアニアは、台湾大使館開設を許可することで、
「中国の脅しには屈しない!」
「弱いものいじめはやめろ!」
「人権、自由、民主主義は、チャイナマネーより大事!」
という強力なメッセージを、世界に発信している。これによって、ドミノ現象が起こり、世界の国々が、
「中国は、台湾いじめをやめろ!」
「ウイグル民族絶滅政策をやめろ!」
「東シナ海、南シナ海における侵略行為をやめろ!」
と恐れることなく主張する動きが起こってくるかもしれません。
ソ連崩壊プロセスの引き金をひいたリトアニア。将来、「今度は、中国共産党一党独裁体制崩壊プロセスの引き金をひいた」といわれるようになるかもしれません。
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