習近平の父である習仲勲は、少数民族に対して融和的であり、1980年代には経済特区を推進し、発言の自由を主張するなど非常に民主的な政治家であることがわかります。
1962年に鄧小平の陰謀により失脚させられた習仲勲は、1978年に復帰するまでの16年間、牢獄生活を送ることになりました。
広東省のナンバー2として再出発した習仲勲は、華国鋒の了解を得て、深セン経済特区制定と改革開放を推進しはじめます。
そうした中、1979年にベトナムとの戦争が勃発し、1981年に華国鋒が主席を辞任。改革開放は鄧小平というイメージがありますが、実は、華国鋒が改革開放を開始し、鄧小平がそれを自分のものとしたのです。
同じ頃、1979年に習近平が中央軍事委員会弁公室の秘書として軍での経歴を始めており、鄧小平とも顔を合わせていたはずです。
「経済特区」構想の生みの親は習仲勲…一定の権限(決定権)を広東に与え、広東が全国の改革開放の中で、一歩先んじて歩むことを認めてほしい(p231)
父の政策とは正反対のウイグル・チベットの弾圧と中国共産党による支配を強化する習近平に著者も困惑するところがあるようです。
それにしても中国共産党とは陰謀と虐殺(内ゲバ)の歴史でした。日本でも左翼活動家、社会運動家が内ゲバで殺し合う事例が多い。
どうしてそうなってしまうのかといえば、共産主義とは空想の中で創作したものであり、何とでも理由付けができるため、自分と考えが合わない邪魔な人間を抹殺しようとすればできる仕組みであるということなのでしょう。
こうした組織が中国国民を支配し、反日教育を徹底していることが恐ろしく感じました。
遠藤さん、良い本をありがとうございました。
【この本で私が共感した名言】
毛沢東は…国共合作によって知り得た国民党軍側の軍事情報を日本側に売り渡していた…手にした報酬を武器購入だけではなく印刷費などに回し、プロパガンダにより多くの人民の心を毛沢東側に惹きつけていた(p71)
中国の…全人口の85%ほどが農民だった…そのため地方の地主を吊るし上げて批判大会を開き、できるだけ地主に激しい罵声を浴びせ殴打するだけでなく、棒で殴る、石を投げるなど凶暴な暴力を振るった者が…共産党側に優遇されていた(p77)
【私の評価】★★★★☆(82点)
<私の評価:人生変える度>
★★★★★(お薦めです!ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(買いましょう。素晴らしい本です)
★★★☆☆(社会人として読むべき一冊です)
★★☆☆☆(時間とお金に余裕があればぜひ)
★☆☆☆☆(人によっては価値を見い出すかもしれません)
☆☆☆☆☆(こういうお勧めできない本は掲載しません)