プーチン憤死寸前。独裁者の判断力を奪う「3つの悪いニュース」

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ウクライナ侵略に関してあくまで自らの正当性を訴えるプーチン大統領ですが、ここに来て立て続けに悪い報せを聞かされる事態に陥っています。今回のメルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、3日連続で発生したロシアにとって受け入れがたいニュースを紹介。さらに北野さんが現在、プーチン大統領絡みで最も懸念している問題を記しています。

【プーチン卒倒】★三つの悪い知らせ

プーチンにとって、とても悪いニュースが三つ入ってきました。

ウクライナの盟友政治家逮捕

ytv news 4月13日を見てみましょう。

ウクライナの治安当局は12日、ロシアのプーチン大統領と深い関係にあるとされる親ロシア派の有力政治家を逮捕したと発表しました。

 

逮捕されたのはウクライナの親ロシア派の有力政治家、メドベチュク氏です。

 

ロイター通信によりますとメドベチュク氏はロシアとの関係を重視するウクライナの野党で代表を務め、プーチン大統領とも深い親交を持つことで知られています。

逮捕されたメドベチュクとは、何者でしょうか?

1954年生まれ。1997年から2002年まで、ウクライナ議会議員でした(@ウクライナ議会は、一院制です)。2002年から05年まで、クチマ大統領(当時)の首席補佐官を務めていた。2004年、いわゆる「オレンジ革命」が起こり、05年親欧米のユーシェンコ政権が誕生。親ロシアのメドベチュクは、政治を離れます。しかし、15年経って、政界への復帰を果たしました。2019年7月、議会選挙が行われた。1位は、ゼレンスキー大統領の「国民の奉仕者」。2位は、メドベチュクの親ロシア政党「野党プラットフォームー生活党」。

彼は、「非常にプーチンに近い人物」として知られています。どのくらい近いのか?

メドベチュクには、2人の娘がいます。1982年生まれの長女イリーナ。2004年生まれの次女ダリヤ。ダリヤは、正教会で洗礼を受けています。で、洗礼を受けるとき、正教会(カトリックも)では、代父、代母がいるのです。

ロシア語でいうと代父は「クリョースニー」、代母は「クリョースナヤ」。英語で、いうと「ゴッドファーザー」と「ゴッドマザー」です。マフィアのボスもゴッドファーザーですが、ここでは違う意味です。辞書には、こうあります。

教会で、子供の洗礼に付き添い、精神的親としてその子の信仰の深まりを助ける人。

で、メドベチュクの次女ダリヤの「ゴッドファーザー」は誰だかわかりますか?

プーチンなのです!

これ、正教会的にはどうなのでしょうか?ロシア正教では、洗礼を受ける子どもの父親母親は、自分にもっとも近い人に、「ゴッドファーザー」「ゴッドマザー」になってくれるよう頼みます。なぜ?自分たちに何かあった(たとえば亡くなった)時に、自分たちの代わりに、ゴッドファーザー、ゴッドマザーが残された子供を世話し、育ててくれることを期待するのです。だから、メドベチュクが死んだら、プーチンがダリヤの面倒をずっと見つづけることになります。メドベチュクが、どれだけプーチンと近い関係か、想像できるでしょう。

そんなメドベチュクは2021年5月、クリミアの資産を横領しようとした罪で、自宅軟禁させられました。2022年2月、ウクライナ侵攻がはじまると、彼は逃亡。そして、4月12日、発見されて再逮捕されたという流れなのです。

ウクライナの盟友逮捕。プーチンは、激怒しているに違いありません。

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