さて、では、ロシアとの間はどうなのでしょうか。
ロシアに関しては、現在ウクライナとの間で戦争状態でなっており、そのことからロシアそのものに対して脅威が高まっているということになりますし、また、それ以前にも日本は東西冷戦の時にソ連を敵視していたので、そのこともあってロシアに対しては警戒心があるといっても過言ではありません。
ロシアに対して、まずは「何だかわからないけれども怖い」というような感覚がある人が少なくないのではないかと思います。
またそのようなことが無くても、ロシアとの間には北方領土問題があり、たまに越境してしまう漁船が銃撃を受けたり、あるいは拿捕されるなどのことがあるのですから、日本人にとってはあまりよろしい印象は少ないのかもしれません。
一方経済的なつながりということになると、まず漁業ということがあります。
ズワイガニや毛ガニ、タラバガニ、サーモンなど、北海道で水揚げされる漁獲の中には、ロシアとの間の漁業協定に基づいて捕っている物も少なくありません。
他にもニシンなどもその中に入っており、様々なものがロシアとの間でやり取りしています。
一方、日本からは家電製品や自動車、腕時計などの精密機械などが多く輸出されています。
また、そのような単純な内容ばかりではなく、一つはロシアのサハリンの地下資源開発などに、日本はすでに10兆円近く投資しています。
今回のウクライナ侵攻の時に、岸田首相が「サハリンの地下資源からは撤退しない」などということを言っていますが、それだけの投資をしていて、それが各企業で損失を計上数すると、一気に日本の景気が悪くなるというようなことも考えられます。
もちろん、ウクライナの人の人権や、ロシアの国際法違反、などにかんして、そのように経済を優先することが良いのかというようなことは少なからずあると思います。
岸田内閣は、なかなかそのようなことまで気にしながらしっかりとした政治が行える内閣ではないようなので、何とも言いようがないですが、しかし、そのようにして日本国または日本の企業の信用を失うことが、最終的には大きな損失になるということも、政治的な立場からは考えなければならないのではないかと思います。
さて、そのように「中国ほど経済的な関係が高いわけではない」ということが一つあり、また、「日本は将来的なことを考えて、投資をしている相手である」ということがあります。
一方で、ロシアに関しては、今の所「日ロ平和条約」のような基本条約は締結しておらず、政治的には、対立関係が続いているというような評価ができるということになります。
そしてもう一つは国際的な状況を見ると、1991年にソ連が崩壊し東西冷戦が終わっても、現在もアメリカ・ロシアにおいてお互いの対立構造が消えていないということになります。
米中対立は、21世紀になって急に出てきたことですから、まだまだ、様々な回避方法があるかもしれません。
この内容は、基本的に中国の覇権主義と経済的な「欲望」の問題になるので、様々なところに妥協点もあるということになります。
もちろん、中国に対してあまり良い感情を持っていない人に関しては、そのような妥協は必要ないと思っているかもしれません。
一方のロシアと西側諸国の対立に関しては、そもそもレーニンが共産主義革命をする前、ロマノフ王朝などの時からの「新興勢力と老舗の戦い」というようなところがあり、なかなか根が深い部分があります。
「根が深い」ということは、当然、お互いの国民感情もよくなくなっているということになります。
つまり、政治の問題ではなく、国民同士の問題になっているということになるのです。
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