『月曜日のたわわ』日経新聞掲載で続く論争。問われる新聞広告の是非

Pile of newspapers on a wooden table. Image has a vintage effect applied.
 

国連女性機関が抗議

ニューヨークに本部を置く、UN Women(国連女性機関)が日経新聞に抗議していたことがわかった。

UN Womenは4月11日付で日経新聞の経営幹部に対し、今回の全面広告を、「容認できない」とする書面を送付。対外的な公式の説明や、広告の掲載の可否を決めるプロセスの見直しなどを求めた。

もっとも、UN Womenが抗議に乗り出したのは、それなりの理由がある。日経新聞は、UN Womenの日本事務所を中心にジェンダー平等を推進する、「アンステレオタイプアライアンス」と呼ばれる取り組みに加盟しているため。

この取り組みでは、以下のような理念を掲げている。

「アンステレオタイプアライアンスは、UN Women が主導する、メディアと広告によってジェンダー平等を推進し有害なステレオタイプ(固定観念)を撤廃するための世界的な取り組みです。

企業の広告活動がポジティブな変革を起こす力となり、社会から有害なステレオタイプを撤廃することを目的とし、持続可能な開発目標(SDGs)、特にジェンダー平等と女性・女児のエンパワーメント(SDGs 5)の達成を目指します。

「女・男はこうあるべき」などに見られるステレオタイプは、企業や人を縛ったり、型にはめることで、イノベーションや自由な発想を遠ざけます。消費者もステレオタイプを描くブランドや商品からは、離れていきます。また、ステレオタイプは、ジェンダー平等を達成するための大きな障壁にもなっております。」

この取り組みの中でも、日経新聞は主導的な立場にある。UN Women 日本事務所と連携し、ジェンダー平等に貢献する広告を表彰する「日経ウーマンエンパワーメント広告賞」を主催するなど、広告のジェンダー平等化の旗振り役を担ってきた。

また賞では、広告からステレオタイプを取り除くため、「3つのP」という審査項目を設けている。

Presence 多様な人々が含まれているか Perspective 男性と女性の視点を平等に取り上げているか

Personality 人格や主体性がある存在として描かれているか

UN Women 日本事務所の石川雅恵所長は、今回の全面広告が、「アンステレオタイプアライアンス」の加盟規約などに反すると指摘する。

「今回の広告は、男性にとっての『女子高生にこうしてほしい』という見方しか反映しておらず、女子高生には『性的な魅力で男性を応援する』という人格しか与えられていません。私たちが重視してきた『3つのP』の原則は守られていないのです。

明らかに未成年の女性を男性の性的な対象として描いた漫画の広告を掲載することで、女性にこうした役割を押し付けるステレオタイプの助長につながる危険があります」(「国連女性機関が『月曜日のたわわ』全面広告に抗議。「外の世界からの目を意識して」と日本事務所長」ハフポスト、2022年4月15日)

日々流れるニュースを学術的視点や新しい角度で解説する伊東 森さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

print
いま読まれてます

  • 『月曜日のたわわ』日経新聞掲載で続く論争。問われる新聞広告の是非
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け