平和ボケ国家ニッポン。台湾問題への余計な「口出し」が祖国を滅ぼすワケ

 

また台湾海峡が戦火に包まれれば、アジアの発展は大きな後退を余儀なくされる。

本来、中国に冷静な損得勘定ができる場所にいてもらうことこそが日本と地域の最大のメリットなのだが、そう考えるのは戦争に巻き込まれかねないアジアの多くの国々ではないだろうか。

5月23日、「インド太平洋経済枠組み(IPEF(アイペフ))」に参加するのに合わせて来日したマレーシアのマハティール元首相は、NHKのインタビューに答えて以下のように語っている。

「経済発展には安定が必要で対立は必要ない。アメリカは中国を締め出すことに熱心なようで、南シナ海に艦艇を送り込んでいる。いつか偶発的な事故が起きて暴力行為や戦争になるかもしれない。これはASEAN諸国の経済発展にとってよいことではない」

つまり、争いをASEANに持ち込むな、と日本に警告しているのだ。同じく来日したシンガポールのリー・シェンロン首相も、日本で行われた「アジアの未来」で講演し、「日本は自らの歴史をどのように処理するかを考えた上で、長期的に未解決となっている歴史問題を解決するべきだ」と釘を刺した。二人とも知日家で、日本を高く評価していた国のトップだけに重い言葉だ。

アジアの大物政治家の目には、いまの日本がどこか危なっかしい存在となっていると映っているのかもしれない。

アジアはいま世界の中で最も発展する地域となるチャンスを迎えている。だが、本当にその栄冠をつかむためには不和をマネージする外交力が不可欠だ。日本がそれを理解しなければ、自ら作り出した敵との戦いに引きずり込まれてゆくことになるかもしれない。

(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2022年5月29日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみ下さい。初月無料です)

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image by: 首相官邸

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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