プーチン4月に「がん治療」か?ついに停戦も視野に入れ始めたロシア

 

一方、ロシア軍は、主力を東部に持って行ったことで、50年以上前のT-62戦車を近代化改修して、ヘルソン地域に配備したが、ヘルソン州での反撃をウ軍は開始した。このため、撤退するロシア軍は、川にかかる橋を複数個所破壊したが、ウ軍はドニエプル川支流のイフレット川を渡河して、ウ軍は20キロ前進して、そこで停止した。

まだ、本格的な反攻ではないようである。補給路になっている高速道路を守備するロシア軍を攻撃しないで止めた。M777榴弾砲や戦車などの到着を待っているのであろうか。来るべき装備がセベロドネツク反撃に回された可能性もある。

ハルキウでは、ウ軍がロシア国境地域のロシア軍を叩いている。ロシア軍は防御一方である。ドイツから供与されたP2000自走榴弾砲が活躍している。このため、徐々にロシア軍は後退している。

クビャンスク方面でドネツ川のルビージュネで渡河したウ軍も停止していたが、体制が整ったのか、再度、攻撃を開始した。徐々に新兵の訓練が終わり、前線に配備ができ始めているようだ。ロシア軍はクビャンスクの陣地を強固にして、ウ軍の攻撃を待ち受けている。ウ軍の損害も大きくなる可能性が高い。

ロシア軍も、戦死者数が少なくなり、無理な攻撃をしないなど、やっと、この戦争に適合し始めたが、都市攻撃では大きな損害を出している。ロシアは、戦争ではないので、国民皆兵の徴集はできないで、兵員不足が深刻で、これ以上の攻撃ができなくなっている。

このため、ロシア軍内部や戦争推進派の間では「クレムリンが戦争勝利のために十分なことをしていない」と、批判的な意見が増え続けている。戦争宣言をして、国民皆兵で徴兵を行い、ウ軍に勝つべきという。この強硬派の裏にパトルシェフ安全保障会議書記がいる。

一方、ブリアート共和国の地方議会では反戦的な動きもあり、国内分裂が激しくなっている。地方の兵徴集で戦場に行き、死亡する人が増えて、これ以上の死亡者を出さないように戦争を止めるべきという。地方の貧しい若者の犠牲が大きく、ロシア人以外の民族の犠牲が大きいようである。

このため、ロシア政府は、マスコミに対して「戦争が100日目であることや、いつまで続くのか」の報道を禁止した。世論の反戦的な行動を抑える必要があるためであり、反戦的な世論の高まりに危機感を持っているようだ。

そして、ロシア軍のパイロット不足は深刻で、5月27日にウ軍MIG29がロシア軍SU-35を撃墜したという。戦闘機の性能では、勿論4.5世代のSU-35の方が数段上であるが、訓練度合いが違い、ウ軍MIG29に負けたようである。

しかし、資金的には十分あり、ロシア制裁でも軍資金37兆円が手に入るようである。今年の石油・天然ガス収入は約2,850億ドルに達する見通しで、戦争継続は資金的には問題なくできるようだ。

軍備もソ連時代の大量の武器、例えばT-62戦車などを倉庫から出して利用すれば、性能は低いが、戦争の継続はできる。しかし、精密誘導ミサイルはなくなり、敵の陣地や都市を完全に破壊するしかない。

その上に、中国の習近平は「経済制裁に触れない形で、ロシアへの経済支援策を探すように」命じたようだ。ということで戦争継続力はある。

しかし、プーチンが4月にガンの治療を受けたとCIAは明らかにしたが、国内世論の動向からプーチンも停戦を視野に入れた可能性が出てきたようだ。

一方、ウ軍の装備は、欧米から供与されて、徐々にロシア軍を仰臥することになる。しかし、敵の陣地に攻撃する場合は、戦死者数が大幅に増加してくるし、長期の戦争には資金が必要であり、その調達が心配である。長期の戦争で世界での関心がなくなるからだ。

このため、ウ軍としても、短期決戦が必要になる。その後、停戦しないと、資金の枯渇と、民間人と軍人の死亡者数が大きくなる。

国内外の動向をリアリスト(現実主義)の観点から予測・評論する、津田慶治さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

print
いま読まれてます

  • プーチン4月に「がん治療」か?ついに停戦も視野に入れ始めたロシア
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け