真相解明の意思はあるか?東京高専の学生自死事件で発覚した第三者委の不誠実

 

あまりに短い調査期間

第三者委員会の設置までには紆余曲折あり、設置までも難航した。

今もそうだが、当時はコロナ禍の真っただ中で、世の中も混迷していた。移動の制限や働き方の変革など、委員の推薦なども時間と手間が異常にかかっている様子であった。

なかなか委員が決まらず、時間だけが過ぎていった。

2021年8月8日やっと第三者委員会の第1回目が開催されることになる。

しかし、ご遺族である野村さんによれば、問題点はいくつもあるが、大きな問題があったということであった。

それは、以下のとおりだ。

第三者委員会の期間を、2021.8.7~2022.3.31として、高専機構がHPに2021.8.17に公表。

 

短すぎると抗議し高専機構と協議したが、対応した〇〇参事が遺族側の案は飲めないと拒否され、その後、〇〇参事は〇×高専に異動。大島商船の第三者委員会でも、3年掛かっているのに、本件は8ヶ月で報告書が出るといい、早期解決を謳い、衆人環視から背けたい意向があったと考えている。高専機構が設置者として第三者委員会を設置したのは、息子の自死の件が初めて。

 

(ご遺族談)

第三者委員会開催について、調査期間を半年程度1年未満で設定してくる設置者(設置者は学校の設置者)は確かに多い。

しかし、それ以上に期間を要する場合は多くあり、期間の設定は不十分な調査結果を招く場合がある事はよく指摘されている。

委員の退任劇

職能団体などから実績ある専門家を慎重に選任していったはずの第三者委員会の委員選任であったが、2022年に入り、とんでもないことが発覚する。

それは、委員の1人が前任の学校長と新任の学校長と面識があり、中立公平が担保できないという理由で、辞任したのだ。

確かに際立って懇意にしていた間柄ではなく、委員自体も記憶になかったという理由は一定の理解はできるが、遺族にとっては、強い疑念を生じることになった。

委員の選任過程は他の委員会を比較しても、かなり厳重にしていたという印象がある。

勝手に委員を決めて進めてしまうなどのそこらのいい加減な教育委員会では、委員の選任について保護者に口出しさせないというケースが目立つが、この委員会の場合は、ご遺族との面会を設けていたりする。

それでも、委員が調査を進め内に、経歴上での一致点などが見つかって、よく確認していけば、面識があったとなったわけだ。

結果、第三者委員会からこの委員は辞任し、代わりの委員の選任が行われることになったのだ。

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