「夏は暑くて、冬は寒い」日本の住宅の非近代性
「夏は暑くて、冬は寒い」という日本の住宅も問題。残念ならが、日本の住宅のレベルはとても低い。ヨーロッパとは比べものにならないほど低く、アジアの中でも韓国や中国と比べても低い水準だ。
その原因は、日本の住宅の断熱性や気密性が低いため(*2)。
つまり、「大量の熱が逃げたり、侵入したりする」ので、壁や床、天井の断熱性が低いばかりではなく、建物に隙間が多く気密性が低いため、外の冷気や熱気は入りやすい。
日本の住宅の窓の構造も問題であるという(*3)。実は、「暑さの7割、寒さの5割」は窓が原因だそうだ。その要因は、日本で当たり前のように普及しているアルミサッシと単板ガラスの窓。
とくにアルミサッシの熱伝導は問題がある。海外ではアルミサッシの代わりに断熱性の高い木製のサッシや樹脂サッシが広く普及。樹脂の熱伝導率は、アルミの約1/1,000。日本の樹脂サッシ普及率は約22%だが、環境大国ドイツでは約58%だ。
また国が定める住宅の省エネルギー基準が、常に「時代遅れ」のままになっていることも大きな問題があるという。
原発の再稼働は必要か?核燃料もロシアに依存 「トイレなきマンション」状態は変わらず
一方、政財界では「原発再稼働」を求める声が政財界で上がっている。しかし、原発の再稼働は安全保障の面からみても進めるべきではない。
そもそも、このウクライナ危機によって、「原発の非安全性」というものが再び、顕著となった。
ウクライナ戦争では、史上初めて、原発が戦場となった(*4)。
「暗闇の中を激しい閃光(せんこう)が飛び交い、煙が立ち上った――。」(毎日新聞デジタル、2022年3月4日)
ウクライナ南東部のザポロジエ原発がロシアによる攻撃を受けた。そもそも、現実に稼働中に原発への軍事侵攻は、過去にも例がない。
原発を動かすための核燃料が、「ロシア頼み」という現実も。EU統計局によると、EUは天然ウランの約2割をロシアからの輸入に頼る。
ウランは主流の軽水炉で使用するために濃縮するが、ロシアは濃縮ウランの生産でも世界の4割を占める(*5)。
稼働するにしても、「トイレなきマンション」といわれる原発の欠点はいまだ解消されぬまま。実際に「トイレがないマンション」は欠陥品なので、それと同様、原発も欠陥品であることは間違いない。
■引用・参考文献
(*1)妹尾聡太「再生エネルギー発電、日本が伸び悩む理由は?」東京新聞 2021年3月9日
(*2) 「断熱&気密 大解剖[第4回]家がこんなに寒くて暑いのは、先進国では日本だけ」住み人オンライン
(*3)「「夏は暑くて冬は寒い家」3つの改善方法とは? 建築家に相談してみた」HUFFPOST 2021年5月27日
(*4)前谷宏、鳥井真平、八田浩輔、吉田卓矢「原発が戦場 史上初、稼働中に攻撃 世界激震 『安全の根本揺らぐ』」毎日新聞デジタル 2022年3月5日
(*5)「欧州、核燃料もロシア依存 原発再評価に課題」時事ドットコムニュース 2022年4月24日
(『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』2022年7月10日号より一部抜粋)
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