ウクライナ戦争の推移
ウ軍は、ルハンスク州で交通の要衝のスバトボに向かっているし、ヘルソン州では、ムイロベに向かっている。これに対して、ロ軍はヘルソン州南部から精鋭部隊を徐々に撤退させているようだ。その代わりに、動員兵を送り込んでいる。しかし、この1週間の戦線の動きは少ない。
クレミンナ・スバトボ攻防戦
ウ軍は、クレミンナ周辺に到達して、クレミンナのロ軍基地に対して、砲撃しているが、偵察部隊を出して、ロ軍の状況をみている。
ウ軍は、もう1つ、クピャンスクからP07を南下してセレベッツ川に到達し、それを渡河してスバトボに向け進軍している。川の渡河前にウ軍部隊も再編を行ったようである。
P66上のプロシジャンカを確保し陣地を構築して、スバトボとクレミンナの間を切断して、スバトボとクレミンナへの攻撃を有利にするようである。
ロ軍は、ドネツ川沿いにロシア領からセベロドネツクまでにワグナー防御線を構築した。そこには、戦車が突破できない「竜の歯」を2重に設置している。どうも、2月24日以前の支配地を守る方向のようである。
ロ軍は大量の動員兵をスバトボに送っているが、装備もない動員兵が前線に放置されて、ウ軍砲撃が激しくなり撤退すると前線に戻るよう命令されたという。まともな装備もなく、ウ軍と戦えという方が、おかしいが、今のロ軍に兵器と弾薬もないようだ。そこの指揮官がラビン大将であり、ワグナー創業者のフリゴジン氏の要求で解任されたようだ。しかし、スバトボの防衛は絶望的であろう。
このため、ワグナー防御線の北側の防衛は、ロ軍は放棄する可能性があることを示しているので、停戦交渉の条件になってくるとみる。
南部ヘルソン州・ザポリージャ州・クリミア攻防戦
ロ軍は、ムイロベとプラスキンズキーを結んだ線上に塹壕を掘り、防衛線を構築した。ウ軍は前進してスハノバまで来て、ムイロベの攻撃をしていた。
しかし、それ以上の前進ができないでいる。ロ軍は精鋭部隊を温存するために撤退させて、その代わりに動員兵を送り込んでいる。
ロシアのスロビキン総司令官は、ドニエプル川西岸のロ軍の撤退を行うとしたが、ヘルソン市の防衛を強化するために、スロビキン防衛線を作り、市街戦を戦うようである。ここでも動員兵を送り込み、精鋭部隊を撤退させるようだ。要するに、動員兵を捨て駒にするということである。
それと、ドニエプル川東岸に砲兵部隊を配置して、西岸のウ軍を攻撃するようであり、ウ軍も西岸に砲兵部隊を配備して、ロ軍火砲を破壊するようである。
ザポリージャ原発の近くに、イエローブロックを持ち込んだ施設を建設しているという。勿論、このイエローブロックは核燃料廃棄物であろう。このため、ザポリージャ原発の近くの都市エネルホダルから、ロ軍が撤退していたようだ。「汚い爆弾」をここで使うようである。
そして、クリミア半島のセバストポリの軍港が、無人機8機、無人艇6隻により攻撃されたこと、特に水上ドローンの自爆突入でフリゲート艦「アドミラル・マカロフ」を撃破されたようで、ロシアはウクライナ産穀物輸出合意の履行を無期限停止するとした。
これに対して、ゼレンスキー大統領は「ロシアは故意に食糧危機を引き起こそうとしている」と非難し、対露圧力の強化が必要だと訴えた。
対して、パトルシェフ露農相は、「ロシアはウクライナに代わり最貧国に穀物50万トンを無償提供し、望む国にも安価で供給する準備がある」と表明した。
バクムット方面
ロ軍の精鋭部隊が少なくなり、バクムット周辺に攻撃を絞り、そこに動員兵も増強して、攻めている。こちらでも単純な突撃攻撃を囚人兵や動員兵にさせて、大きな戦死者を出しているのに、前進できないでいる。
ウ軍は、ロ軍の大量自殺攻撃の動画を公開しているが、このような攻撃は、無意味であり人命軽視のロ軍用兵に怒りを感じる。
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