なぜ岸田首相「異次元の少子化対策」はここまで厳しい批判の声があがるのか?

Inventive contemporary mom multitasking in the morning
 

時短などの制度を使って、早めに復職する女性たちもいます。私たちの世代が若い時は、出産ギリギリまで働き、育休もさっさと切り上げ、仕事に戻ることを余儀なくされたので、時短やリモート勤務ができるだけでも、素晴らしいなぁ、時代は変わったなぁ、とう羨ましく思う人たちはたくさんいます。

しかし、キャリア帯同、すなわち「育児しながらも働き続けられる制度」があったら、「私だったらどうしたかなぁ」「1人目は休んでも、2人目は働き続けたかも」という意見を、これまで度々聞いてきました。

その他にも、
「復帰したら『大変だろうから』と閑職に回された。周りが気遣ってくれてるのがわかるだけに、いやとも言えない」
「私はもっとバリバリやりたいのに、周りがさせてくれない」
といった意見も。

休職や時短等の休みを取る制度だけでなく、どうやったら働き続けられるかという制度を考る。これを実現するには企業単位だけではなく、社会としての仕組みも必要だと思うのです。

だからといって「リスキリング」という新しい言葉を多用するのは、あまり賢いやり方とは思えないし、キャリア帯同=学び直しと決めつけるのも、ちょっと違う。

女性の問題だけでなく、会社の問題であり、男性の問題でもあるし、それは社会の全体の問題です。

例えば、母親と父親が「平等に育児休暇を取得できる制度」を実現するには、どうすればいいのか?

育児や掃除、料理などの家事の負担が母親に集中しないため、父親の家事参加が当たり前の社会になるには、何が必要か?

育休だろうと、介護だろうと、留学だろうと、なんだろうと、社員が長期休暇を取れるにはどうしたらいいのか?

「誰かが数ヶ月休んでも仕事が回るような体制」を、どうすれば実現できるか?

これらはすべて「やらなければならない」ことです。今の時代を生きる「私」たちが幸せになるために必要なことです。

個人単位でもなく、会社単位でもなく、社会も巻き込んで議論し、法を整備し、体制を整え、社会の価値観を変えていく。

これが本当の「異次元の少子化対策」ではないでしょうか。

小手先だけの政策は意味がないことは、エンジェルプランが作られた1990年代からわかっているのですから。

みなさんのご意見、お聞かせください。

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