他人の門出を邪魔する国ニッポン。ひっそり海外移住する人たちが増えたワケ

Japanese passport with glass globe on red leather background
 

長期滞在者と永住者の違い

ところで、今回増えているのは永住者です。永住者と長期滞在者は違います。

長期滞在者は、約75万1千人(前年比約5万6千人減)とコロナ禍で3年連続で減少した。
(朝日新聞)

とのこと。マレーシアに来ているのはほぼ長期滞在者です(結婚している人などを除く)。つまりはいつかは日本に帰ることを前提とした滞在者です。つまりマレーシアに来ている人は、全体から見ると減っています。

なんでかというと、マレーシアで永住権を取るのは非常に難易度が高いからです。そこに気づいてオーストラリアや欧州に移っていった人たちも大勢知っています。

一方、永住者は日本に帰らないかもしれない人たちです。その永住者が20年連続で増えているのです。

一方、原則として在留国で永住権を認められ、生活の拠点を日本から海外に移した「永住者」は20年連続で増加し、10年前と比べても約14万人超増えた。地域別では北米(約27万4千人)、西欧(約9万人)、豪州・オセアニア(約7万6千人)が多い。男女比は女性が約62%と多い。職業や年齢など他の属性は明らかにされていない。
(朝日新聞)

永住権には3~10年など、相当の期間がかかります(国によって異なります)。実は申請中の人はもっといるでしょう。 

中世の音楽家たちは、本当によく転居しますよね。最近読んだシューマンの伝記でも、シューマンもワーグナーもニーズに合わせて住む場所をコロコロ変えています。ドボルザークもチェコからアメリカに行きました。

マレーシアの周囲の華僑と話すと、他国の永住権を持っている人が、少なくありません。子どもが国を変わることを当たり前だと考えている節がある方も多いです。ある方は「子どもがマレーシアに残りたがってて困る。私たちの時代に比べて内向きだ」とこぼしてました。

マレーシアでは頭脳流出が昔から問題になっているわけです。

近所の公立学校に通うマレー系の親も子どもに積極的に外国語(ドイツ語・日本語・韓国語)を学ばせています。「これからはグローバルの時代だから」と子どもをドイツに短期留学させてました。

同時に日本が好きで住みたいとやってくる外国人もいるので、静かに人口の移動が起きているんでしょう。

※本記事は有料メルマガ『東南アジアここだけのお話【まぐまぐ版】』2023年2月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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文筆家・編集者。金融機関を経て95年アスキー入社。雑誌「MacPower」を経て以降フリーに。「ASAhIパソコン」「アサヒカメラ」編集者として主にIT業界を取材。1990年代よりマレーシア人家族と交流したのときっかけにマレーシアに興味を持ち11年以上滞在。現地PR企業・ローカルメディアの編集長・教育事業のスタッフなど経てフリー。米国の大学院「University of the People」にて教育学(修士)を学んでいます。 著書に「東南アジア式『まあいっか』で楽に生きる本」(文藝春秋)「子どもが教育を選ぶ時代へ」「日本人には『やめる練習』が足りていない」(集英社)「いいね!フェイスブック」(朝日新聞出版)ほか。早稲田大学法学部卒業。

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