現役医師が解説。夜間のfreestyleリブレ「低血糖」は測定誤差なのか?

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指先穿刺の必要がなく、上腕に貼り付けた500円玉大のセンサーで24時間いつでも血糖値の測定が可能という、画期的なブドウ糖測定装置「freestyleリブレ」。そんな便利な装置ですが、使用するにあたって理解しておくべき「特性」もあるようです。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では、糖尿病専門医で糖質制限の提唱者としても知られる江部康二先生が、読者から届いた質問に答える形で、睡眠時や空腹時のfreestyleリブレで表示される「低血糖」の扱いについて解説しています。

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持続ブドウ糖測定装置(freestyleリブレ)と測定誤差

Question

shitumon

43歳女性・糖尿病ではありません。

5か月前に低血糖症状のようなものがあったため、5時間OGTT検査をしたところ、反応性低血糖症と言われました。

そこで糖質制限を始め、血糖値測定器(freestyleリブレ)を4週間装着し、血糖値の乱高下はほぼ見られなくなりました(ブドウを食べた時には高値でした)。

しかし測定器によると、睡眠中はほぼずっと低血糖となっています(空腹時間が長いと日中も低血糖症になります)。

日中の乱高下もなく、糖質制限していても夜間低血糖になるのでしょうか?

またなぜ起こるのでしょう?

江部先生からの回答

まずは、糖質制限食実践で、反応性低血糖の症状が改善して良かったです。

しかしながら、空腹時や夜間睡眠中にリブレのデータでは低血糖になってしまうということです。

高雄病院では、糖尿病入院患者さんにfreestyleリブレProを装着して持続ブドウ糖測定を実施しており、既に140人以上の実績があります。

freestyleリブレProは、freestyleリブレよりは、精度が高く誤差も少ないと思います。

それでも誤差は生じます。

特に、夜間睡眠時の低血糖を示す患者さんにおいて、どうやら低く出すぎている印象があります。

例えば、ある入院患者さんは、スーパー糖質制限食実践で速やかに血糖値コントロール良好となりました。

そして、freestyleリブレProで睡眠時は50-60mg/dl程度で、夕方6時前の空腹時血糖値も60mg/dl程度となりました。

それで、睡眠時のSMBGは困難なので、夕方6時前にSMBGを実施してみました。

そうすると、CGMでは60mg/dl、SMBGでは100mg/dlくらいの差がありました。

つまり、freestyleリブレProでは低血糖のデータであっても、この患者さんにおいては、40mg/dlくらい低くでる誤差があったということとなります。

勿論、個人差があると思いますが、リブレで低血糖レベルの50-60mg/dlといった数値が出る場合は、SMBGのデータより30-40mg/dlくらい低く出ているように思われます。

従いまして、この方の場合も、睡眠時や空腹時のfreestyleリブレで表示される低血糖は、本当のデータより、30-40mgくらい低く出ていると思われるので、実際には低血糖ではないと思います。

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image by: Dragoljub Bankovic / Shutterstock.com

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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