プーチンは崖っぷちのネズミ状態。戦争が長引くほど有利になる大国の名前

 

前線のワグナー軍への補給を断ったプーチン政権

ウ軍は基本的に暗視装置を全員持っている。ロ軍は精鋭部隊か特殊部隊しか持たない。ウ軍は、暗視装置をドローンに付けて、ロ軍の夜間歩兵攻撃を発見するとクラスター弾を使い、歩兵の突撃を一撃で仕留めている。このことでも、ロ軍の損害が増えているようである。

NATOの情報によると、ロ軍はバフムトで歩兵を前進させようとした際に、90メートル強の距離ごとに約2,000人の兵士を失っていることになり、損失が前進の割りに多すぎるという。1km進むごとに2.2万人の兵士を失うことになる。ロ軍は累計でほぼ20万人の死傷者を出しているようだ。

そして、どんどんウ軍機甲増援部隊がバフムトに到着している。今後、バフムト周辺でロ軍掃討作戦に出るとみる。本来は春の大攻勢用のT-72戦車部隊をバフムトなどの多くのロ軍攻勢地点に派遣している。

このため、プリゴジンも、「バフムトが直ちに手に入ることはない。ウ軍の抗戦が強烈だからだ。(勝利の)お祭り気分には程遠い」と発言し、戦況がこう着状態に陥っていることを認めた。

しかし、プーチン政権は、このプリゴジンの行き過ぎた政治的影響力を弱める方向に動いている。

この一環として、ロ軍は、ワグナー軍の撤退を命令したが、それでも前線にいるワグナー軍には、補給を停止したようである。弾薬が枯渇して戦えないと、ビデオで訴えている。

そして、ロ国防省は、ワグナーが実施していた囚人の募集を開始して、ワグナーが停止した囚人兵を突撃兵として利用するようである。しかし、囚人も戦闘でほどんど生存率がないことを知っているので応募しないが、国防省は強制動員するようである。

これにより、ワグナー軍はお払い箱になるが、現在でもワグナー軍の技能は、正規軍より上であり、ロシア内部の政争で前線のロ軍全体の力も落ちることになる。ウ軍にとっては、良いことではあるが。

無謀な突撃で訓練済みの動員兵の多くを戦士させた露軍

ロシアの軍組織は、それぞれの地域で軍管区司令官により統制される体制にしたことで、正規軍、DNR軍、LNR軍、ワグナー軍、カディロフ軍といった、バラバラの体制から改正することになる。やっと統制取れた体制になる。

バフムトの北のフェドリフカにロ軍空挺部隊とワグナー軍が攻撃をしているが、ウ軍は撃退している。ウ軍もここにも増援部隊を送り、守備陣を増強している。ここからシベリスクにロ軍は前進したいようであるが、前進できていない。

ドネツクのボハレダラには、ロ軍海軍機械化歩兵部隊が攻撃したが、ウ軍機甲部隊の反撃で大損害を出したが、GRUのスペツナズや特殊部隊なども増援したが、この増援部隊も壊滅的損害になっている。ここで、ウ軍は燃料気化爆弾の発射機であるロ軍のTOS-1を破壊した。大損害をロ軍に与えたが、ロ軍は攻撃を諦めないようである。

ボハレダラ攻勢を指揮した東部軍管区司令官ルスタム・ムラドフが、攻勢失敗の1週間後、プーチンはムラドフを大将へと昇格させた。これでロ軍海軍機械化歩兵部隊をボハレダラ攻撃の英雄と述べた理由がわかる。そして、単純な突撃攻撃のソ連ドクトリンの戦術が当分続くことになることがわかる。このため、人的損害は今後も多くなるようだ。

ボハレダラの近くのプレチスティフカにもロ軍は攻撃したが、ここでもウ軍に撃退されている。ボハレダラ攻撃のロ軍は部隊の再編成中であり、攻撃は弱めである。このため、ウ軍機甲部隊が数km以上もロ軍を後退させている。

ロ軍は歩兵部隊の突撃で攻撃してくるが、前進速度が低いので、ウ軍は、攻撃地点に迅速に大量の機甲増援部隊を送れるので、ロ軍の攻撃を早い段階で防ぐことができている。

このような対応で、ロ軍の秋の訓練済の動員兵も突撃で戦死者が多く、早期に兵員の枯渇になるとみる。ロ軍大攻勢も攻撃限界点に早期に達してしまうことになり、次の動員兵を必要となる。

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