なぜ、靴の中なのに「靴下」なの?校閲のプロが教える正しい日本語
「恋は下心、愛は真心」って?
漢字は日本に入ってくると、日本特有の意味を持つようになります。「下」にも、「あらかじめ~する」「ひそかに~する」という意味が加わってきたのです。
「下調べ」と言えば「あらかじめ調べておくこと」です。「下心」は「心の奥深くに思っていること、心底、本心」「心に隠している企み」など意味です。
「恋は下心、愛は真心」などと言われるのは、「恋」と「愛」の中にある「心」の位置をもじったことば遊びです。
「ひそか」という意味が、物事の裏側、遮られて見えない部分、内側を指すようにまったのです。包まれている部分、他のものでおおわれて隠れている部分のことも「下」で表すようになりました。
おしゃれは、隠れて見えない部分にこそ
「下着」ということばもここから派生し、「表に着る衣服によって他人の目から隠される、あるいは大部分が隠されてしまう衣服の総称」なのです。服の下に着ているから、という説もあるようですが、人の体から見ると肌の上です。その意味では「肌着」ということばはまさに言い得て妙ですね。
靴下も下着と同様、靴に隠れて見えない部分にはくものだからなのです。「下」は必ずしも「上下」を表すことばではないことが、おわかりいただけたでしょうか。
ちなみに現存する最古の靴下は、17世紀後半頃の、水戸・徳川家所蔵の木綿の長靴下と言われています。当時それを「メリヤス足袋 (たび) 」と呼んでいたそうです。メリヤスの語源は、スペイン語のmedias、ポルトガル語のmeiasといわれ、ともに「靴下」の意味です。
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