オジサンか、それに似た女性のみ。絶望しかない政治階層上階の人々

kk20230426
 

杉並区議選では女性の当選者数が男性を上回るなど、各地で「女性躍進」となった4月23日投票の統一地方選。しかし国政に目をやれば、相変わらず男性ばかりが幅を利かせているのが現状です。かような状況に強く異を唱えるのは、健康社会学者の河合薫さん。河合さんはメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で今回、「政治の階層上階の人々」に絶望しか感じられない訳と、自身が女性議員の数にこだわり続けている理由を記しています。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

“ブラック”すぎる社会と新風と

女性議員がジワジワと増えてきました。

統一地方選後半戦の市議選では、全国で1,457人の女性が当選し、2019年の前回を218人上回り過去最多を更新。改選定数に占める割合は22.0%と、前回に比べて3.6ポイント上昇し、初めて2割を超えました。

また、東京の女性区長は、過去最多の6人に。都内の21区議選と20市議選で当選した女性の比率は前回より約4ポイント高い35.25%に。杉並区は女性が24人当選し、男性の23人を上回りました。また、武蔵野市での当選者は男女同数です。

「女性議員が少ないのは、女性が選挙への関心が低いからだ!」などと指摘する識者がいますが、私の周りでは多くの女性が選挙の応援にたっていました。時代の変化を如実に感じています。

今回の統一地方選は、投票率の低下や無投票当選の増加など、さまざまな問題点が浮き彫りになりました。しかしながら、女性が増えた、応援する女性も目立ってきたという現実は、率直に嬉しい。新風がふいている。女性が増えただけで、「何かが変わりそう」と思えてしまうのです(むろんそう単純ではないかもしれませんが)。

それでもやはり、“なにか”物足りない。「変わりそう」と期待する一方で、その変化が“上”を向いていないのです。

なにせ“霞ヶ関”にカメラが向いた途端、オールブラックで。自分の言葉で決して話そうとしない面々が映し出されます。それ「主要7カ国気候・エネルギー・環境相会合だ!」、ほれ「G7長野県軽井沢外相会合だ!」と、何がどうしたこうした~とニュースでとりあげられていますが、世界では「女性リーダー」が当たり前なのに、テレビ画面のうつる日本の政治家は「おじさん」オンリーです。

時折、映し出される「数少ない女性閣僚」も、「この人はどっちを向いてるんだろう?」というコメントばかりで。「変わらないことを選択した人」にしか見えません。

草の根は確実に広がっているのに、上=頭に変わる気配が全く見えない。ここまでくると、正直なところ…意味不明としか思えません。意味不明、意図不明、理解不能、イミフ、チンプンカンプン…なんでもかまいませんがただただ、もうわけがわからないのです。

世界から非難轟々の「LGBT法案」も、どうやら連休明けに、「やっつけ感」満載の、実効性なき法案になりそうですし、「多様性」という言葉の意味も、「多様性」が必要な理由も、理解しようともしない政治の階層上階の人々には、絶望しかない。

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