人によっては老齢年金、遺族年金、障害年金の3つの受給する資格を持ってる場合もありますが、どれか有利なのを選択して1つの種類の年金を受給してもらうしかありません(一部例外はありますが)。
昭和61年3月31日までは1人で複数の種類の年金が貰える場合もありましたが、昭和61年4月1日以降は社会保障の過剰給付を是正する意味でも1人1年金が原則となりました。
年金というのはどの種類においても、受給者の生活保障を目的とするものなので、生活保障を目的としたものを複数貰ったら過剰給付になりますよね。
それを避ける上でも複数の種類を貰うのは一部のケースを除いて禁止とされました。
しかしながらどうしても、複数の種類の年金が発生する事もあるので、そういう時は有利な年金を選択してもらう必要があります。
この時に例えば特別支給の老齢厚生年金を貰ってた人が、遺族年金を請求したとします。
遺族年金のほうが総額が多ければ、遺族年金を選択するでしょう。
「これからは老齢厚生年金ではなく遺族年金のほうの支払いをお願いします」と。
ところが新しく年金(上述の遺族年金)を請求してからすぐに翌月から年金支払いが始まるわけではなく、請求から振込までは概ね3ヶ月ほどはかかります。
あと、受給権が発生した(遺族年金なら死亡日が受給権発生日)からといってすぐに請求手続きに入る人ばかりではありません。
例えばもし6月死亡なのに、遅れて遺族年金を8月くらいに請求をしたとします。そうすると8月に請求なので、そこから3ヶ月くらい経ってようやく初回振り込みになります。という事は11月15日(初回振り込み時は奇数月振込になる事がある)あたりにようやく遺族年金が貰えるという事ですね。
ちなみに、請求が遅れても遺族年金は受給権発生日である死亡日の翌月分の7月分から支払いになるので、遅れたとしても遡っての支払いとなります(5年以内の時効分は遡って支払い。5年を超える分は時効消滅)。
遺族年金の初回振り込みは奇数月の11月15日とすれば7月、8月、9月分の3ヶ月分の支払いですね。
それにしても、年金は前月までの分を支払うから11月15日支払いならば、7月、8月、9月、10月分なのでは?と思われたかもしれませんね。
これは、11月15日の分は10月15日に支払うのが遅れた場合の振り込み日となります(随時払という)。なので、その後は偶数月に前2ヶ月分の支払いとなります(12月15日に10月分と11月分)。
…でも、その間に特別支給の老齢厚生年金が10月15日までに7月分、8月分と9月分の3ヶ月分が支払われていたとします。
遺族年金は7月分から遡って支払うのに、老齢の年金がすでに7月分~9月分まで支払われてしまった。期間が重複になっていますね。
こういう状況になったらどうするのかという事です。
つまり、遺族年金を遡って7月、8月、9月と貰えるのだけども、その振り込みがあるまでにそれまで受給してきた老齢の年金が7月、8月、9月分と支払われてしまっていた形ですね。
というわけで、事例を用いて考えていきましょう。
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