経営者の役目は会社や事業を成功に導くことですが、成功するためには、組織を引っ張る人間にリーダーとしての資質があるか?が重要になります。今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では、著者で経営コンサルタントの梅本泰則さんが、 経営者の役割と会社が失敗する原因について掘り下げて語っています。
経営が失敗する原因
1.経営者の役割と失敗の原因
経営者の役割は、何でしょう。
経営学者の伊丹敬之教授は、著書『よき経営者の姿』(日本経済新聞出版社)の中で、経営者の役割は3つある、と指摘しています。それは、
・リーダー
・代表者
・設計者
です。経営者は、組織を引っ張るリーダーでなくてはなりません。また、外部に対して、代表者として訴えかける役割を果たす必要があります。さらには、戦略を組み立てたり、組織の設計をしたりして、社内外に示すことが必要です。それらの役割をうまく実行できる経営者が、事業を成功に導きます。
とはいえ、全ての経営者が成功するわけではありません。中には、失敗を犯す経営者もいます。伊丹教授は、その原因を3つあげています。
・状況認識の誤り
・人物鑑定の誤り
・人格的ゆるみの誤り
です。簡単に言いますと、「状況認識の誤り」とは、社会環境の変化や顧客ニーズ、そして競合相手の動きを上手く認識できないことです。「人物鑑定の誤り」とは、人を見る目がなくて、そのポジションにふさわしい人を配置できないという誤りを指します。
2.人格的ゆるみ
ここまでは、納得できるでしょう。経営の基本ですから。問題は、3つ目の「人格的ゆるみの誤り」です。人格のゆるみとは、「心のゆるみ」とも言えます。少し順調に進んでいる経営者に現れる現象です。ゆるみの結果、経営者に次のようなことが起こります。
・甘い見方をする
・現実をゆがんで理解する
・公私混同する
・えこひいきをする
・仕事の手抜きをする
経営者が、このようなことをすれば、社員にも伝わってしまいます。いかがでしょう。こんな社風の会社に、心当たりはありませんか。
一つ、身近な例を挙げてみましょう。毎月の売上や利益目標が達成できないお店があったとします。そのお店は、上にあげた3つの「誤り」を犯しているのかもしれません。つまり、市場の動きが分からないことが、原因かもしれません。部下の役割分担が正しくないのかもしれません。
もちろん、それも原因でしょうか、売上や利益目標が達成できない一番大きな原因は、経営者の人格的ゆるみにある気がします。
人格的なゆるみは、「甘い見方」をもたらすとありました。甘い見方をすれば、たとえ目標が達成できなくても、部下に厳しく言うことはないでしょう。そうすると、部下は達成しなくても大丈夫だと思ってしまいます。目標が達成できないのは、当たり前です。