明らかな“オカルト”「人為的地球温暖化論」はなぜ広がったのか

 

1980年代に入り地球の温度の上昇が顕著になるに及び、気候学者は一転して、寒冷化恐怖論から、温暖化恐怖論に鞍替えして、これに原発を推進したい政治勢力が呼応して、政治的・経済的マジョリティは、一挙に人為的地球温暖化論になびいていった。

大きな転機となったのは、1988年6月23日に米国上院の公聴会で、米国航空宇宙局のジェイムズ・ハンセンが『最近の異常気象、とりわけ暑い気象が地球温暖化と関係していることは99%正しい』と証言したことだ。まともな科学者なら、99%正しいと発言した時点で信用できないと思うけれども、1986年4月26日に起きたチェルノブイリの原発事故で、原発の推進がままならなくなっていた英国の首相のサッチャーは、いち早くこの言説に飛び乗ったのである。

公聴会の開催日は、過去の気象から最高気温が記録されそうな日を選び、当日は委員会の冷房が切られていて、猛暑を印象付けようとしたようだ。事の最初から怪しいのだ。この年の8月には早くもIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が設立されたが、サッチャーの強い後押しがなければこんなにも早く設立されなかっただろう。

IPCCは、CO2を排出して地球温暖化の恐怖に晒されるくらいなら、CO2を排出しない原発を推進した方が、人類の未来にとってベターであるとの政治的プロパガンダのために設立されたわけだ。もっとも近年は、原発よりも再エネを推進したいEUの意向を反映して、原発の代わりに再エネでカーボンニュートラルを目指せといった論調になっているけれどね。

サッチャーは1989年11月にニューヨークで開かれた国連総会のスピーチで、CO2を削減して人為的地球温暖化を阻止すべきだと主張した。その心は原発を推進したい。IPCCは、だから原発廃止に熱心ではないし、地球の温度変動はCO2より自然要因のほうが大きいというエビデンスが沢山出てきても、報告書ではそのてのエビデンスはすべてネグレクトされるようになっているのだ。

IPCCは学会のような環境科学者の中立的な団体ではなく、政治的なバイアスがかかった、人為的温暖化原理教ともいうべき宗教団体だといった方が事実に近い。

この記事の著者・池田清彦さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 明らかな“オカルト”「人為的地球温暖化論」はなぜ広がったのか
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け