AIでも半導体でもない。世界的エンジニアが日本再生のために投資すべきと提案する「5つの産業分野」

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以前掲載の「シリコンバレーに勝てるのは「高専」だけ。世界的エンジニアが重大提言、日本を救うIT学園都市構想の中身」等の記事で、たびたび我が国が再び立ち上がる術を考察してきた、Windows95を設計した日本人として知られる中島聡さん。そんな中島さんが近々、河野太郎デジタル大臣と対談する機会を得たといいます。そこで今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では中島さんが、総理大臣候補としての河野氏への提案を考えているアイディアを紹介。日本再生のために力を入れるべき5つの産業分野を具体的に記しています。

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プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

私が考える日本再生計画。今やるべきは「社会のニーズ」を解決する産業を育てること

以前から是非ともやりたいと考えていた河野太郎デジタル大臣との対談ができそうな気配になってきたので、どんな話をするかを考えています。行政のデジタル化の話だとか、マイナンバーカード関連のトラブルの話などは、他の人でも十分に出来るだろうから、私にしか出来ない話をしたいと考えています。それも、デジタル大臣である河野太郎氏に向けてではなく、総理大臣候補としての河野太郎氏に向けてのメッセージ、というかアイデアを送りたいと考えています。

アイデアは大きく分けて二つから構成されています。一つ目は、以前、このメルマガにも書いた、日本独自の高専を活用した、日本の教育改革であり、理科系人材の育成です。今の日本の教育は、企業による新卒一括採用とセットになり、大学受験の時点で子供達を「ふるい」にかけ、「学歴」を利用して大学卒業時に「正社員の地位」を得ることがゴールである、とても保守的なシステムになってしまっています。そのため、子どもたちは、貴重な中高の時期を過酷な受験勉強に費やし、創造性を伸ばす、さまざまな機会を通じて夢中になれるもの・得意なものを見つける、などの最も大切なことが出来なくなっています。

大学は、「研究機関」でもなければ「職業訓練校」でもない、単なる「受験の時点で優秀な生徒を集めて就職まで預かっておく」だけの付加価値の低いものに成り下がってしまいました。

この状況を打破するには、ソフトウェア・エンジニアを中心に、即戦力のエンジニアたちを5年間で育成する全寮制の高専を日本各地に作り、そこに理系頭を持つ子どもたちを幅広く受けた上で、英語で理数教育をし(オンラインコースとAIを使った個別指導を最大限活用します)、彼らを受験勉強から解放すると同時に、世界に通用する即戦力のエンジニアを大量に育成するしかないのです。

同時に「受験により子どもたちを『ふるい』にかけるだけ」のぬるま湯大学には消えてもらい、残った大学(および大学院)には、研究の道に進みたがる一部の学生だけを受け入れて「研究者」を育てる「研究機関」としての役割を果たしてもらいます。

日本政府は、私立助成金という形で莫大な税金を教育に流し込んでいますが、それは、大量の生徒を集める私立校ビジネスを補填しているだけであり、優秀な人材を生み出すことには全く繋がっていないことを反省すべきです。そのお金を、公立の高専に流し込み、そこで即戦力の理系エンジニアを大量に生み出すことこそが、日本の成長に繋がります。

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