違うゲームのルール
さて、東大を卒業した教え子が「実社会に出て自信があったのに、様子が違いどうしたらよいのか」と坪田信貴さんに言ってくるのだそうです。そんなときにこんな助言を与えているのです。「社会に出ると違うゲームになる」。だから「違うゲームのルールを覚えましょう」と。
プロの将棋の世界ではAI活用が常識になってきているということで、早くから活用をしてきた藤井聡太竜王が名人位も獲得することになったのですが、負けた渡辺前名人がAI活用が十分でなかったというとそうでもなくて、「AIは“この手が最善”と示してくれますが、その理由までは教えてくれません」と言われ、そのうえで「『なぜ』をクリアできないと、その戦法は使えないのです」と言われています。
新名人になった藤井聡太竜王が、竜王戦で初防衛したときに色紙にこんな言葉を書いています。「千思万考」と。勝とうとするならば“なぜ”を知らなければならず、ために人の更に上を行くには自分自身での「千思万考」が求められるということでしょう。
回りくどい説明になるのですが、ここで結論的に言えるのは、学ばなければならない知識は当然習得しなければならず、また学べるのですが、また専門家に頼れるし、大いに頼ればいいのですが、リーダー(経営者、管理者)にとっての「必須の資質は“真摯さ”(誠実)」であると、ドラッカーの言葉がリフレインしてきます。
「事をなそう」とするならば、ここを押さえられるかどうかが「経営のコツここなりとつかんだ価値は百万両」となるのでは、となります。
覚えることのできる“知識”は、誰にでもが活用可能な「強み」であり、“うまい”経営者ならこれをどうするのか、ここのところを覚れる経営者なら「企業が持ちうる唯一の意味ある強み」のマネジメントを行うのでしょう。