「種」まで売り渡し外資の大企業を儲けさせる安倍政権以降の亡国政治

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2017年8月に施行された農業競争力強化支援法、2018年4月に「民間の品種開発意欲を阻害している」などとして廃止された種子法、2021年4月に登録した品種の知的財産保護等の目的で改正された種苗法。これら農業関連の法律は誰のために作られ、なくされ、変えられたのでしょうか。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、評論家の佐高さんが、元農林水産大臣の山田正彦氏と対談した内容を紹介。安倍政権から岸田政権までの農業政策が、外資の大企業の儲けを考えるばかりで、日本人の食を担う農業従事者や農作物を享受する日本人のためになっていないと嘆き、警鐘を鳴らしています。

種まで売り渡す亡国の政治

『ZAITEN』で続けている「佐高信の賛否両論」の8月号のゲストは元農林水産大臣の山田正彦である。長崎県は五島列島の生まれの山田は弁護士で、民主党内閣で農水大臣をやった。その対談の内容を紹介するが、聞いていて本当に背筋が寒くなった。

種子法廃止・種苗法改悪・農業競争力強化ならぬ弱化支援法をセットで進めている現政権は亡国への道をまっしぐらに走っている。

TPPというのがあった。これには自民党も反対していたはずなのに、クルッと変わって現在は推進の旗を振っている。それについて山田は「大企業のモンサントとかファイザーとかダヴ・デュポンとかのロビイストが日本で政界や財界・官僚に働きかけて、自民党を引っくり返した」と語る。

モンサントはベトナム戦争の際に使われた枯れ葉剤をつくっていた会社でありファイザーはコロナで大儲けした会社である。

「民間の活力を利用して民間に任せる」とか言って、竹中平蔵などが先頭に立って規制緩和を進めた。それが最も顕著だったのが大阪だが、竹中とつながる維新の橋下徹や松井一郎が「身を切る改革」という名の下に公務員を削減した結果、何が起こったか。竹中が会長をしていたパソナがそこに入り込んだわけである。それを大規模にした形でファイザーやモンサントが入り込んだことになる。

しかし、種子や種苗の話はもっともっと深刻で、国が管理していた米と麦類と大豆類の種子を外資に売り渡そうとしているのである。アメリカべったりで日本の国民のことなど考えない自公政権は食糧まで差し出そうとしている。信じられない話が進行しているのだ。

農水省は「みつひかり」という米の品種を推奨してまわったが、これは日本モンサントの「とねのめぐみ」や豊田通商の「しきゆたか」と同じくF1品種で一代限りなので、毎年買わなければならない。値段はコシヒカリの品種がキロ400円くらいなのに、みつひかりはその10倍の4,000円。しかも、それは欠陥品であることがわかって三井化学は販売を中止し、多くの農家が路頭に迷った。

大企業、それも外資に儲けさせるために、日本の農家、そして農家が生産する米を待ち望んでいる国民はそっちのけなのだ。

「種というのは元々、農民の権利です。これは日本が批准した食糧・農業植物遺伝資源条約にちゃんと自家採種は農民の権利であると書いてあります。それを全く無視しているわけです」と山田は怒る。詳しくは対談を読んで怒りを新たにしてほしいが、農家の自家採種を禁止している国はイスラエルと日本だけと国は答えたらしい。

民間という名の企業に任せるのは、世界の流れに逆行している。公を知らない岸田文雄ならぬ晋三をはじめとした政治家たちによって、本当にこの国はメチャクチャにされようとしている。

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